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伊東、里崎も獲得していない月間MVP。
ロッテ田村、4年目の急成長の秘密。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/07/27 07:00
規定打席に達した打撃だけでなく、田村は安定したディフェンス面でも扇の要としてチームを支えている。
42年間の歴史で捕手の月間MVPはわずか11人だけ。
1975年に、その月の成績優秀者1名に送られる賞としてスタートした月間MVP。その42年の歴史の中で、捕手で選出されたのはわずか11人しかいない。カッコ内は月間MVP時に所属していた球団である。
<セ・リーグ>
田淵幸一(阪神)
大矢明彦(ヤクルト)
古田敦也(ヤクルト)
中村武志(中日)
阿部慎之助(巨人)
原口文仁(阪神)
<パ・リーグ>
香川伸行(南海)
中嶋聡(オリックス)
青柳進(千葉ロッテ)
城島健司(福岡ダイエー)
田村龍弘(千葉ロッテ)
パ・リーグの捕手としては2004年6月の城島健司以来12年ぶりのことであり、千葉ロッテだけで見ると1992年4月の青柳進以来、実に24年ぶりの快挙だった。
現・千葉ロッテ監督で'80年代から'90年代の西武黄金期を支えた名捕手・伊東勤でさえも、'06年のWBC(ワールドベースボールクラシック)で、ベストナインにも選ばれた里崎智也でさえも、成し遂げていない。それくらいの価値がある。
「一番獲るのが難しい賞かもしれないと……」
事実、田村は今回の受賞について、このような感想を述べた。
「まず(自分が)獲れる賞だと思っていなかったし、ある意味、一番獲るのが難しい賞かもしれないと思っていました」
7月25日現在、田村は86試合に出場して打率は.282。パ・リーグ打撃成績の13位に位置している。5月終了時点での打率は.192だから突然のブレイクのようにも見えるのだが、実は今年の開幕直後からその前兆はあった。