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伊東、里崎も獲得していない月間MVP。
ロッテ田村、4年目の急成長の秘密。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/07/27 07:00
規定打席に達した打撃だけでなく、田村は安定したディフェンス面でも扇の要としてチームを支えている。
開幕直後、打率1割台でも四球を選び続けていた。
開幕直後のゲームを振り返る。当時、田村が打席に入ると相手投手がなぜかいきなり制球を乱し、ストレートの四球を出すシーンを何度か見た。
3月27日の3回裏、有原航平(北海道日本ハム)や、4月8日の2回裏、菊池雄星(埼玉西武)が出した四球がそうだ。
打率は1割台、されど出塁率は3割台をキープ。そんな不思議な現象が2カ月続いた。
「(4月~5月は)昨年より自分の中で感じも良かったですし、当たり自体も悪くなかったし、フォアボールも選べていた。あとは結果だけだなって、ずっと思っていたので、それがここに来て(結果に)付いて来たのかなと思っていますけどね」
つまり、ボールは見えていた。
立花打撃コーチと感覚のずれを欠かさず直し続けた
打席からベンチに戻ってくると、立花義家打撃コーチと自身の感覚とのずれを欠かさず確認をとった。
「タイミングも合っているし、でも、ちょっとずれているというのは冗談っぽくタチさん(立花コーチ)とずっと話していたんです。僕の中では「ハア……」とため息をつくような当たりが4月~5月と増えていたので、それが6月になってようやくしっかり仕留められるようになったんだと思います」
ボールは見えて、タイミングも取れている。
有原、菊池が簡単にストライクを取りに行けなかったのも、この辺りが関係しているかもしれない。
覚醒のきっかけは今春の自主トレにあった。昨年末40歳になったベテラン福浦和也と一緒に過ごした時間だ。