マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「近未来にプロに進むヤツ」発見!
ヤマハ・鈴木博志の150kmは数字以上。
posted2016/07/26 17:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
夏の甲子園予選の7月は、社会人野球の祭典「都市対抗野球」の季節でもある。
今年は15日の金曜日に開幕した都市対抗。興味をそそられる選手、以前に取材で親しくなった選手が出場する日には、今がたけなわの甲子園予選の合間を縫って、東京ドームに足を運ぶ。
それは、プロ野球のスカウトの方たちも同じことで、ついさっきまで同じ球場の炎天下で予選を見ていたスカウトたちが、同じドームのネット裏で、今度は社会人選手たちのプレーに目を凝らす。
社会人野球の選手たちにとって、最大の“自己実現の場”といえば、この都市対抗である。もっとはっきり言ってしまえば、1年間のすべての努力は都市対抗に出るために、東京ドームで活躍し、優勝するためになされるのだ。
それだけに、選手たちのドームでのパフォーマンスはその選手の“MAX”と考えてよく、プロ側も都市対抗のここ一番でどんなプレーができるのかは評価の最大要素であり、いきおいスタンドから選手たちの一挙一動に注ぐ視線も一段ときびしいものとなる。
高校生の時に、磐田東では本格派トリオの1人。
「ヤマハの鈴木が150キロ出しましたよ」
静岡で取材活動を続ける知人から、そんな知らせがあったのは、今年の春、5月ごろだったと思う。
ヤマハ投手・鈴木博志(19歳・180cm85kg・右投右打)。地元・静岡の磐田東高からヤマハに進んで、まだ2年目の若手投手である。
鈴木博志、高校3年の春、私は磐田東高のブルペンで彼のピッチングを受けていた。
私が作っている『野球人』に「野球的ディスカバー・ジャパン」という連載記事がある。無名でも能力が高く、野球と一生懸命向き合って頑張っている隠れた逸材を発掘する企画で、磐田東高の本格派トリオを取り上げた。
鈴木博志のほかには左腕の本格派が2人。齋藤誠哉(184cm81kg・左投左打)はその秋のプロ野球・育成ドラフトでソフトバンクに入団し、もう1人の藤森碧尉(あおい)(179cm83kg・左投左打)は卒業後、愛知の大学に進んだ。