岩渕健輔、ラグビーW杯と東京五輪のためにBACK NUMBER
リオ五輪のラグビー、日本の相手は?
岩渕健輔が各国の弱点を徹底解析。
text by
岩渕健輔Kensuke Iwabuchi
photograph byAFLO
posted2016/08/03 17:00
オーストラリア守備陣を切り裂く福岡堅樹。五輪でメダルという目標へ準備は整った。
ケニアは守備の時間が続くと集中力を失う?
3戦目で当たるケニアは、ニュージーランドやイギリスよりもランキングは下になりますが、やはり侮るわけにはいきません。選手のフィットネスやスピードに関しては、リオ五輪に参加する12チームの中でもトップクラスを誇っているからです。
ただし、日本が取るべき対策は明白です。
ニュージーランドやイギリス同様、ケニアもフィットネスやスピードを活かした真っ向勝負を仕掛けてくるので、日本にとってはいかに組織的にディフェンスを行っていくかが鍵になります。
そして、それ以上に重要なのは、やはり日本がどれだけマイボールをキープし、執拗に攻撃を続けられるかでしょう。ケニアは攻撃では光るものを見せる反面、辛抱強く守備をしていくのを嫌がる傾向もあるからです。
ケニアとの試合では、戦術的な対策に加えて、精神的に相手を攻略していくという点でも、マイボールのキープ率がポイントになるのは間違いありません。
女子の相手はカナダ、イギリス、ブラジル。
一方、女子の代表はカナダ、イギリス、ブラジルと同じプール組み分けに入りました。
私は女子に関しても、男子同様比較的相性のよい相手と同じプールに入った、という印象を受けています。過去の対戦も多く、カナダ、イギリス、ブラジルはともに、比較的対策が練りやすいチームだからです。
まず初戦であたるカナダは3チーム中、最も世界ランキングの高い強豪ですが、日本は毎年のようにカナダに遠征をして試合を行ってきました。したがってグループリーグで対戦する3チームの中で、一番手のうちがわかっている相手だとも言えるでしょう。
カナダ戦では、いかにゲームをコントロールできるかが最大のポイントになります。繰り返し述べてきた通り、ボールの支配率を高めていくことは世界と戦う際の基本的な方針になりますが、女子の場合は特に重要です。
世界の強豪と比べた場合、日本の女子代表は特にスピードの面で対抗するのが難しいためです。具体的に言うと、大きく展開されて、敵のバックスを追走するようなケースになると、タックルで止めるのはきわめて難しくなります。これは日本の男子代表との大きな違いにもなっています。
従って女子の代表の場合は、攻撃をし合う展開に持ち込ませないようにして、粘り強くボールをキープし続けながら、相手に決定的なチャンスを作らせないようにするのが、勝負の分かれ目になってくると言えます。