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桐生祥秀、山縣亮太、ケンブリッジ飛鳥。
決勝の土曜日、日本人初の9秒台狙う!
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2016/06/24 11:30
関東インカレでの桐生祥秀。故障もなく、日本選手権に向けて順調に仕上がっているとのコメントも。
桐生に負けず劣らず好調な山縣亮太。
100mは、1000分の1秒の単位で測定されるが、公式記録は100分の1秒までが表示される。1000分の1秒の単位が記録として使われるのは、複数の選手が同タイムながら差があった場合だけだ。異例の公表だったが、10秒00の壁を突破するまでわずかなところに近づいたことを示していた。
好調なのは桐生だけではない。
山縣亮太はロンドン五輪で準決勝に進出し、次代のエースとも言われたが、その後故障に苦しみ、満足な走りができなくなっていた。
だが今シーズン、ようやく復調。4月の織田記念では2.5mという強烈な向かい風の中、好記録をマークし、6月5日の布勢スプリントでは、10秒06の自己新記録。しかもこのタイムは向かい風の条件のもとでは日本最速であった。
桐生の中盤、山縣のスタート&終盤に注目!
持ち味は異なる。
桐生が中盤の加速を武器とするなら、山縣はスタートと終盤に強みがある。
その特徴を土台にしつつ、課題を見つけてはその改善を図ってきた成果が、両者の今シーズンの成績につながっている。桐生、山縣がそろって上昇気流にあることが、9秒台への期待を加速させているのだ。
2人は常々、日本最速であることにこだわってもきた。勝負を意識してきた。
山縣が自己新記録を出した布勢スプリントのレースで、桐生は10秒09で敗れている。
「日本最速は自分という気持ちでやっていたので、悔しかった」
日本学生個人選手権で、桐生はこう振り返っている。悔しさもまた、10秒01につながっている。
山縣もそのときどきに、桐生を意識しての言葉を発してきた。好敵手の存在が、ハッキリと相乗効果となっているのだ。
2人とも、すでに3年前には「最初に9秒台を出したいです」(桐生)、「最初の9秒台入りを譲るつもりはありません」(山縣)と意識していた。その2人が目指してきた9秒台は、もう目の前まで来ている。そして、日本最速へのこだわりがぶつかるのが、今日から始まった日本選手権である。