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ホークス・東浜巨がエースキラーに。
“工藤塾”と特別な調整法で覚醒!
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![田尻耕太郎](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/b/4/-/img_b43fe1177a9daa14cc32a4042896cbe77339.jpg)
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/06/22 07:00
![ホークス・東浜巨がエースキラーに。“工藤塾”と特別な調整法で覚醒!<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/a/5/700/img_a5bc4578737d30e3c8191d24e2e8f52999804.jpg)
6月20日に26歳を迎えた東浜。センバツ優勝、東都大学リーグの完封記録と、輝かしい過去を持つ男は、プロ4年目で再び開花しつつある。
大学で通用した戦術がプロで通用しなかった。
「ボクの理想は10安打完封です」
理想のピッチングについてそう語る。
どれだけ打たれても点は与えない。肝心なところでは相手の打ち気を逸らしたり、チカラの出し入れを上手く使ったりして、自分のペースに飲み込んでいく。だが、大学では通用しても、プロ野球は“誤魔化し”が通用する世界ではない。
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昨年までも手をこまねいていたわけではなく、二軍に様子を見に行くと、東浜はいつも汗だくで走っていた。
「走って、ウエイトをして、また走って。そして投げ込んで。その繰り返しです」
先発登板した日も同じ。「罰走じゃないですよ」と帽子のツバから汗を垂らしながら苦笑いしていた。
先発というポジションへの思い入れ。
その甲斐あって球速は徐々に戻っていった。しかし、短いイニングではそれが投げられても、先発すると元のようなピッチングになってしまう。昨年9月8日のファイターズ戦(旭川)で、3年目シーズンの唯一の勝利を挙げたが、7回で156球も費やした。ストレートに力がないため、変化球が生きない。勝負球がないためにどの打者にも粘られた。勝つには勝ったが、もはや頭打ちの状態だった。
ソフトバンクは先発陣が豊富だ。昨オフには和田毅が入団し、ローテ入りの門はさらに狭くなった。ならば、リリーフで活路を見出す手もあるのではないか――。
しかし、東浜は強く言い切った。
「先発というポジション、場所に、思い入れがあるんです」
ならば強く、もっと強く……。