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ホークス・東浜巨がエースキラーに。
“工藤塾”と特別な調整法で覚醒!
posted2016/06/22 07:00
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Hideki Sugiyama
キドコロだけじゃない。
ヒガシハマも、覚醒中だ。
ホークスの東浜巨が「エースキラー」と化している。イーグルス則本昂大、マリーンズ涌井秀章、カープ黒田博樹、スワローズ小川泰弘。各チームの大黒柱との投げ合いを次々と制してきた。6月10日のジャイアンツ戦は自身に勝ち星こそつかなかったが、やはりエースの菅野智之と互角に渡りあう力投で、チームの勝利に貢献した(スコア2対1)。今季ここまで5勝0敗、防御率2.08。今季の開幕は二軍スタートだった右腕が、強力なホークスの先発ローテ陣でも欠かせぬ存在となっている。
あの東浜である。これくらいの活躍は当然との見方もあるだろう。
ドラフト時は即戦力ナンバーワンの呼び声が。
沖縄尚学高校でセンバツ甲子園優勝投手になった。プロスカウトからの評価は絶大だったが、あえてプロ志望届を出さずに亜細亜大学に進学した。東都大学野球リーグで通算35勝、リーグ新記録の22完封と420奪三振。それらの実績を引っ提げて3球団競合のドラフト1位でプロに入った。年齢こそ違えども、同期の1位入団には大谷翔平(ファイターズ1位)、藤浪晋太郎(タイガース1位)がいる。話題性では彼らに及ばなかったが、即戦力ナンバーワンでは間違いなく東浜、とプロの評論家たちも太鼓判を押すほどだった。
しかし、期待は裏切られた。3勝、2勝、1勝。過去3シーズンの白星である。
東浜の投球は、どこか弱弱しかった。
高校時代に最速150キロをマーク。大学入学後は152キロまで伸ばしたが、大学3年生時に右肘を故障したことでスピードががくんと落ちた。ホークス入団すぐの頃は140キロそこそこしか出なかった。それでも大学時代は抑えていた。