オリンピックへの道BACK NUMBER
ロシア陸上界が五輪不出場なら……。
ドーピング禍の決着は6月17日に。
posted2016/06/12 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
6月17日はロシアにとって、いやロシアに限らず、陸上界全体にとって大きな1日となるかもしれない。
この日、国際陸上競技連盟の理事会が開かれる。そこで、ロシアの陸上選手がリオデジャネイロ五輪に参加できるかどうか、協議されるからだ。
組織的にドーピングを行なっていることを理由に、国際陸上競技連盟がロシア陸上競技連盟を資格停止処分としたのは昨年11月のこと。ロシアの陸上の選手は、国際大会への出場ができなくなった。
以降、ロシア側はドーピングをしていない選手まで含めた一律の処分は不当であるなど抗議や批判の一方で、ドーピングへの対策をとる姿勢を見せてきた。6月を前に、その動きは加速している。
今年5月の再検査の結果を受けて、2008年の北京五輪に出場した選手のうち、陸上を含む3競技の14名から陽性反応が出たことを公表した。今月に入ってからは、学校の必修科目で反ドーピングの授業を加えると発表もしている。
すべては、処分解除を目指してのことである。
冬季種目も調査が始まり、ドキュメント映像も問題化。
一方で、暗雲も立ち込めている。
5月には、世界反ドーピング機関(WADA)が、2014年のソチ五輪で新たなドーピング疑惑が浮上したことから、ロシアの調査に乗り出すと発表した。陸上に関することではないが、国際陸連の判断に対してプラス材料になることはない。
何よりも打撃となりそうなのが、6月8日にドイツの公共放送連盟(ARD)が放映した「ドーピングの知られざる世界――崖っぷちのロシア」というドキュメンタリーだった。
番組では、競歩の元コーチがドーピングで永久追放処分となったにもかかわらず、現在も代表選手の指導を行っている映像や、やはりドーピングで処分を受けた選手たちが練習している風景などがあったという。反ドーピングへの姿勢に懐疑を抱かせ、国際陸連の協議にも大きく影響をおよぼしかねない内容だったのだ。