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「このまま1年終わると思ってない」
ヤクルトの活路は畠山和洋の復調だ!
posted2016/06/01 11:00
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
Nanae Suzuki
昨季のセ・リーグ覇者、ヤクルトが苦境に立たされている。
最大11あった借金を猛然と返済するDeNAとの直接対決に敗れ、最下位に転落したのが5月22日。その後も浮上のきっかけを掴めずにいる。
苦戦の原因が、開幕前から不安視されてきた投手力、特に先発陣の手薄さにあるのは明白だ。
先発投手に勝ち星がついたのはおよそ3週間も前、石川雅規が広島打線を8回2失点に抑えた5月11日まで遡らなければならない(5月29日現在、以下同)。そればかりか、12日以降の16試合すべてでチームは3失点以上を喫している。規定投球回数に達しているのは小川泰弘と原樹理の2人だが、防御率は小川が4.45、原が5.07。規定投球回数以上の投手を対象としたランキングで最下位に沈む(小川17位、原18位)。
おのずとリリーフ陣の負担は重くなり、セットアッパー秋吉亮の登板数(29試合)はリーグ最多タイ。今季からクローザーを務めるオンドルセクは5月28日の中日戦で2点差を追いつかれるなど、しわ寄せを受けるブルペンの疲労の蓄積が心配される。
チーム防御率4.87、勝つために必要な点は……。
「勝つには勝ったけど、投手を含めて修正したい」
5月26日、阪神にサヨナラ勝ちを収めた後、真中満監督は語った。
しかし投手陣の苦しい台所事情が解消される見込みがあるかと言えば、それもほぼ望めないというのが正直なところだ。館山昌平は4月20日に右ひじを手術して全治6週間の診断を受けた。イースタン・リーグでも最下位の二軍戦力を見渡したところで、救世主となりそうな名前がなかなか見当たらない。
チーム防御率4.87、ざっと5失点は覚悟しなければならないヤクルトが勝つには、当然ながらそれ以上の点を取る必要がある。まだ借金5で踏みとどまれているのも、自慢の攻撃陣が失点数と拮抗する得点をたたき出しているからにほかならない。