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「このまま1年終わると思ってない」
ヤクルトの活路は畠山和洋の復調だ!
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byNanae Suzuki
posted2016/06/01 11:00
畠山和洋の独特のバッティングフォーム。5月25日には通算1000試合出場も記録した。
昨季優勝を勝ち取った打撃陣は、今季も健在。
5月24日から神宮球場で行われた阪神3連戦が象徴的だ。
3試合のスコアは、5-7、9x-8、6x-5。得点と失点はともに合計20だったが、2つのサヨナラ勝ちで辛くもカード勝ち越しをもぎ取った。続く中日3連戦でも5-6、9-6(延長11回)、1-6と3試合連続で6失点しながら、なんとか1つ勝ちを拾った。
取られたら取り返す。とにかく奪われた以上の点を奪う――これから幕を開ける交流戦でも、ヤクルトの戦い方はこの一手に尽きるだろう。
昨季リーグ優勝の原動力となった打撃陣は、今季も健在だ。それどころか、オリックスから新加入の坂口智隆や、ケガから復帰のバレンティン、さらに3割をマークしている大引啓次と主に代打で結果を残す今浪隆博の“元日ハムコンビ”の活躍もあって、層の厚さは昨季以上と言える。
畠山「このまま1年間終わるとは思ってない」
その中で一人、出遅れている感のある主軸打者が畠山和洋だ。
腰痛のためキャンプ早々から別メニュー調整を続け、開幕にはなんとか間に合ったものの、4月中旬に背中の張りで登録を抹消。5月7日に一軍復帰を果たしたが、いまだ本塁打はなく、打率は2割台前半をうろついている。
「いっときの最悪っていう状態ではないけど、じゃあこれからホームラン打てそうです、バッチリです、とも言えない」
不調に苦しんできた畠山がそう語ったのは、阪神のマテオからサヨナラ打を放った5月26日の試合終了後。自身のコンディションについて、淡々と口にした。
「自信満々で打ったヒットではなかった。(ここまで打てていない)もどかしさはありますけど、いい時の自分ばかりを追い求めていても、今の自分とのギャップに心が折れてしまうと思うので……。今は中軸としてどんどん(走者を)返すという役割よりは、悪いなら悪いなりにつなぎ役に徹して、チームに貢献したい」
そして、こう言葉を継いだ。
「このまま1年間終わるとは思ってないですし、自分の状態と理想とのギャップを練習の中で埋めていけるようにしていきたい」