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プチ鹿島、5月のスポーツ新聞時評。
プロ野球も都政もコリゴリジョン!?
posted2016/05/31 11:00
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
Asami Enomoto
なんと言っても今月はプロ野球のコリジョンルール(衝突回避ルール)だろう。
簡単にいうと「本塁での危険なクロスプレー禁止」のこと。捕手はブロックしてはいけない、走者はタックルしてはいけない新ルール。
高給取りに怪我されたらたまらないというメジャーのオーナーの意向ではじまったという。今年から日本にも導入された。
適用1号が5月6日の西武-日本ハム戦。「初コリジョンでハム勝ち アウト一転ビデオ判定でセーフに!」(サンスポ・5月7日)
そして5月11日の阪神-巨人戦は揉めに揉めた。阪神の捕手・原口はベース上を空けてタッチ。余裕のアウトにみえたが「走路をふさいだ」として判定はセーフに覆ったのである。翌日のスポーツ新聞は大騒ぎ。
「金本監督激怒 高代ヘッド『判定が幼稚すぎ』」(スポニチ)
「激怒混乱コリジョン 金本 野球がダメになる」(デイリー)
この日の試合は“村山実デー(永久欠番デー11)”としておこなわれたこともあり、こんな見出しも。
「永久欠番『11』デー 村山大先輩 日本のプロ野球は変わりました」(日刊スポーツ)
コリジョンルールと言えば、昨年まで阪神に在籍したマートンを思い出す。捕手へ激しいタックルをするマートンがいなくなったのに、今回は普通のプレーでコリジョン適用されてしまった阪神。
これは「マートンの呪い」なのか?
コリジョンルールに振り回された高橋監督。
しかしもっと重大な事実に気づいてしまった。この日の判定が功を奏し試合に勝って首位に立った巨人。サンスポは「コリジョンで奪首 由伸巨人」。
巨人は4連勝で東北シリーズに向かう。
この地で悪夢が待っていたのである。
17日の山形での試合、DeNA・倉本がホーム付近を忍者のようにかいくぐりセーフとなった。コリジョンルールで走路を空ければ追いタッチとなる。捕手と走者の追いかけごっこが発生しやすくなる。
「由伸 5連勝逃げられた 忍者負け」(スポーツ報知・5月18日)