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ヴィクトリアマイルは騎手で買う!?
となれば、外せないのはやはり……。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2016/05/14 08:00

ヴィクトリアマイルは騎手で買う!?となれば、外せないのはやはり……。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

長らく期待されながら、実はGIはいまだ勝利なし。3月の中山牝馬Sで復調の兆しを見せているだけに、本番に期待が高まる。

絶好調・武豊はスマートレイアーとのコンビ。

 スマートレイアー(6歳、父ディープインパクト、栗東・大久保龍志厩舎)に乗る武豊は、キタサンブラックで天皇賞・春を勝った4日後にコパノリッキーでかしわ記念を制し、その2日後にはラニでケンタッキーダービーに参戦(9着)と、世界を股にかける本来のリズムを完全にとり戻している。このコンビも争覇権といえる。

 武が実戦でこの馬に乗るのは、10着に終わった昨年のヴィクトリアマイル以来。一昨年のこのレースでも8着と、結果を出せずにいる。

 が、惜敗がつづいたスキーパラダイスで1994年夏にフランスのGIを勝ったときのように、試行錯誤を重ねながら馬の能力を引き出して結果を出すのが、武豊の武豊たる所以である。今回も「日本でGIを騎乗機会3連勝したことよりも、スマートレイアーで勝てた、ということが嬉しいです」と爽やかにコメントする姿が想像できるだけに、怖い。

ジョッキー買いなら、この2人は外せない。

 こうして有力馬を見ているうちに、このレースは「ジョッキー買い」しても面白そうだということに気がついた。

 このところの「ジョッキー買い」のトレンドと言えば、やはり、「迷ったときはデムーロとルメール」の法則か。

 ミルコ・デムーロが乗るクイーンズリング(4歳、父マンハッタンカフェ、栗東・吉村圭司厩舎)は、デビューから距離をひとハロンずつ短くしながら3連勝したように、能力に幅があり、GIを勝つだけの爆発力もある。

 クリストフ・ルメールとの初コンビとなるルージュバック(4歳、父マンハッタンカフェ、美浦・大竹正博厩舎)も、ここに集まった強力メンバーをまとめて突き放すだけの破壊力を持っている。3連勝で昨年のきさらぎ賞を勝ったときは、「怪物」と呼ばれたスーパー女子だ。

 前走の中山牝馬ステークスは、直線で左前脚を落鉄し、鉄唇(てっしん=蹄鉄がズレないようにする突起物)を踏み、出血するアクシデントがあったため、本来の伸びが見られず2着に終わった。大竹調教師によると、もうその影響はないという。

 圧倒的1番人気に支持されながら9着に敗れた桜花賞では、スローな流れのなか、包まれて位置取りが少しずつ後ろになり、直線に向いたときには挽回不可能な展開になってしまうなど、運に恵まれないところがあった。

 そうした悪い流れを変えるために手っとり早いのが乗り替わりだ。

 新馬戦から8戦すべてで騎乗してきた戸崎圭太の手を離れるのは、普通はけっしてプラスにはならないのだが、今回に限っては、吉と出るような気がする。

【次ページ】 女帝復権への願望込みで◎はルージュバック!

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