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DeNAの苦境はラミレス采配に問題が。
山崎の「大人扱い」と盗塁積極策を! 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNanae Suzuki

posted2016/05/01 10:40

DeNAの苦境はラミレス采配に問題が。山崎の「大人扱い」と盗塁積極策を!<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

投手陣は持ちこたえているが、得点力不足に苦しむDeNA。ラミレス監督の手腕にかかる期待は大きい。

山崎を1年目から抑えに据えた中畑監督の慧眼。

 各球団の抑え役の経歴を見ると、アマチュア時代からリリーフの適性が見込まれていた抑え役は山崎、福谷、増井、増田の4人だけで、澤村、中崎、平野、松井、西野は球団事情による転向、阪神は呉昇桓からマテオ、ヤクルトはバーネットからオンデルセク、ソフトバンクはファルケンボーグからサファテという外国人頼みの時代が続いている。

 外国人投手は日本球界での選手寿命が短いので、この3球団のやり方がいいとはとても思えない。

 そういうことも考え合わせると、DeNAの中畑清前監督が山崎を入団1年目から抑え役に据えたことはなかなかの慧眼で、球団の財産になっていると思う。新監督は前監督のやり方から脱して自分の色を出そうとする傾向にあるが、いいものはきちんと踏襲するべきである。

俊足揃いなのに、盗塁は12球団で最少。

 攻撃面に目を転ずると、開幕ゲームから新人の柴田竜拓(国学院大)、戸柱恭孝(NTT西日本)をスターティングメンバーで起用し、4月26日現在、50打席以上記録しているのは多い順に筒香嘉智、ロペス、倉本寿彦、戸柱、荒波翔、桑原将志、ロマック、石川雄洋、白崎浩之(次点柴田)という顔ぶれ。ロマック、戸柱1年目、倉本2年目、白崎4年目、桑原5年目でわかるように積極的に若手を登用し、自分の色を出そうとしている。それでもチーム成績は振るわず、7勝16敗は12球団中でも圧倒的な最下位である。

 それでも前監督と異なる色を出したいというなら、戦略的な部分にもう少しラミレス流を浸透させたらどうだろう。たとえば攻撃面では、中畑監督時代も今年も盗塁数が少ない。昨年の成績は次の通りだ。

<1位巨人99、2位中日88、3位ヤクルト83、4位広島80、5位DeNA57、6位阪神48>

 パ・リーグでも1位日本ハム134、2位楽天118、3位ソフトバンク94でわかるように、上位球団の機動力重視は明らかである。

 今季の4月26日時点での盗塁数は、1位阪神17個、2位ヤクルト、広島15個、4位巨人8個、5位中日5個、6位DeNA 3個と、DeNAの少なさが際立っている。ラミレス監督が積極的に起用している倉本、荒波、桑原、石川、柴田はアマチュア時代から俊足で通っているので、これはラミレス監督の采配に原因がある。

【次ページ】 マネーボールでは、盗塁の価値を認めていないが……。

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