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DeNAの苦境はラミレス采配に問題が。
山崎の「大人扱い」と盗塁積極策を!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNanae Suzuki
posted2016/05/01 10:40
投手陣は持ちこたえているが、得点力不足に苦しむDeNA。ラミレス監督の手腕にかかる期待は大きい。
山崎はラミレス監督に“大人扱い”されていない?
こういう他球団のやり方を見ると、ラミレス監督の山崎起用法はあまりにも慎重すぎる。私が見た巨人戦以外でも、1-1のまま延長戦に突入した4月7日の中日戦、山崎がマウンドに立ったのは三上が2イニング投げたあとの11回からである。4月9日のヤクルト戦は10-5と大量リードした9回から登板し、翌10日は4点リードした9回に登板した三上が1死から連打されたところでスイッチされ、7番の谷内亮太に3ランを打たれて薄氷を踏むような1点差勝利をものにした。
これらの起用法を見ると、山崎は依然として“大人扱い”されていないことがわかる。今季は9試合、8回3分の1を投げて、0勝1敗3セーブ、9安打、4四球、6三振、防御率1.08と、いいような悪いようなはっきりしない成績だが、被安打率、奪三振率、与四死球率を昨年と比較すると万全でないことがよくわかる。
2015年 被安打率6.07、奪三振率10.54、与四死球率1.92
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2016年 被安打率9.72、奪三振率 6.48、与四死球率4.32
しかし、だからと言って子供扱いしていいわけではない。現在の球界は、はっきり言って抑えの新旧交代期に差し掛かっている。12球団の中できちんとした成績を残しているのはオンドルセク(ヤクルト)、澤村拓一(巨人)、サファテ(ソフトバンク)、平野佳寿(オリックス)の4人だけで、守護神としての働きが期待されているマテオ(阪神)、中崎翔太(広島)、福谷浩司(中日)、西野勇士(ロッテ)は防御率2点台、増田達至(西武)、松井裕樹は3点台、増井浩俊(日本ハム)に至っては6.48と壊滅状態である。
そういう中にあって、ヒットを多く打たれ、奪った三振が少なく、四死球を多く与えていても、それなりにゲームを壊さずチームの勝ちに貢献している山崎はもう少し尊重されていい(9試合登板中、チームの勝敗は4勝3敗2分け)。
守護神黄金時代というのが存在した。
かつて“守護神”の異名が文字通りの存在感を発揮していたのは、1990年代後半から2000年代前半にかけてだ。佐々木主浩(横浜)、宣銅烈(中日)、高津臣吾(ヤクルト)、大塚晶則(近鉄)、ペドラザ(ダイエー)、豊田清(西武)、その少し後に小林雅英(ロッテ)、ウィリアムス、藤川球児、久保田智之のJFK(阪神)がいた。
セットアッパーには岩瀬仁紀(中日)、五十嵐英樹、横山道哉(横浜)、五十嵐亮太、石井弘寿(ヤクルト)、篠原貴行(ダイエー)、河本育之、薮田安彦(ロッテ)、森慎二(西武)たちがいた。あの黄金時代にくらべると、今は人材を探す模索の時代である。