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DeNAの苦境はラミレス采配に問題が。
山崎の「大人扱い」と盗塁積極策を!
posted2016/05/01 10:40
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Nanae Suzuki
4月22日、東京ドームで行われた巨人対DeNA戦。巨人・菅野智之、DeNA・今永昇太の息づまるような投手戦に目が釘づけになった。菅野は7回を投げて被安打2、奪三振6、与四死球0で無失点、今永はやはり7回を投げて被安打6、奪三振6、与四死球0、失点1という完璧に近い内容で相手打線を抑え、菅野は右手中指のマメがつぶれ、今永は101球を投げたことで大事を取っての降板となった。
試合は9回にDeNAの代打・乙坂智が巨人の守護神・澤村拓一から右中間に同点ホームランを放って延長戦に突入。結果的に巨人が総勢5人、DeNAが6人の投手を繰り出す総力戦になり延長12回を引き分けたが、私が「?」と思ったのはDeNAの継投だった。
9回表に同点に追いつき、その裏は守護神の山崎康晃を繰り出して巨人の勢いを止め、いい流れで10回の攻撃につなげる、そういう継投が行われると思っていた。準備が遅れても10回のマウンドには間に合うはずである。しかし、ラミレス監督は9回以降、三上朋也、藤岡好明、田中健二朗とつないで、山崎が登場したのは勝ちがなくなった12回裏のマウンドだった。
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対する巨人は菅野降板のあとマシソン、澤村につなぐ勝利の方程式でDeNA打線を抑えにかかり、同点に追いつかれたあとは山口鉄也が2イニング投げ、最後は防御率3点台の田原誠次を送り出し何とか引き分けに持ち込んだ。
同点の9回以降は、いい順に送るのがセオリー。
守護神は勝ち越してからマウンドに送る、というのがかつて存在した抑えの起用マニュアルだが、今は同点で迎えた9回以降は、いい順にピッチャーをマウンドに送るのがセオリーである。
他球団はどうかというと、4月19日に行われた楽天対オリックスは2-2で迎えた9回裏、オリックスが平野佳寿をマウンドに送り(楽天はワンテンポ遅れた10回に松井裕樹をマウンドに送り、そのあとを引き継いだ戸村健次が小谷野栄一に勝ち越しホームランを打たれる)、4月17日の日本ハム対ロッテは9回裏に同点に追いついた日本ハムが増井浩俊を10回表に、ソフトバンク対楽天では9回裏に4点挙げて同点に追いついたソフトバンクが10回にサファテをマウンドに送り打線の奮起を待った。