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南野拓実、5試合ぶりのスタメン出場。
新監督下で“絶対的存在”になれるか。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/04/28 10:50
リーグ、カップ戦と、昨年に引き続き2年連続の二冠達成は目前。強豪チームで南野個人の結果も求められる。
昨季のような革新的な姿勢が見当たらない。
何より、ラングニック(*現在はレッドブルが実質親会社を務めるドイツ2部のRBライプツィヒ監督)がSDを務めていた昨季までのような、革新的なサッカーを披露しようとする姿勢の面影はもはや見当たらない。コンセプトを欠いた、金満クラブのように映る。
昨シーズンまで指揮をとっていたヒュッター監督が、「クラブとの間に、将来の目標に関する違いが生まれた」として、昨シーズン終了後に契約を解除した事実も、こうした事態を予想していたかのような発言に思えてくる。
それでも、オーストリアのなかで圧倒的な資金力を持つザルツブルクには優勝以外の成績はありえない。シーズン途中に監督交代を余儀なくされたという事情もあり、手堅く勝ち点を積み重ねる日々だ。それに伴い、選手のコンディションを考慮し、相手の特徴に応じた戦い方を模索する戦いに終始している。
南野がザルツブルクにやってきた1年3カ月前とは、状況は大きく変わってしまった。当然、南野をはじめとした選手に求められることも以前とは異なる。
一目で分かる気持ちのこもったプレー。
5試合ぶりにスタメンのチャンスを手にしたリート戦で、南野はこれまでとは少し違うプレーを見せていた。スタンドからでも、一目でわかるような気持ちのこもったプレーを続けていたのだ。
球際の競り合いや相手のシュートブロックの際には身体を投げ出す。日本代表のハリルホジッチ監督が指摘する「デュエル」とも通じるものだ。試合冒頭の決定機もまた、この日の気迫が少し空回りしてしまった部分もあるのかもしれない。前半17分と41分、南野が相手の攻撃をはばもうと身体を張ったプレーをみせると、2度ともガルシア監督は手を叩いてたたえた。
「そういうことを常に監督は言うし、そういうところはすごく意識していましたね」
気迫のこもったプレーを見せた理由を語ったうえで、南野はこう話した。
「そういうプレーをしたうえで、攻撃でどれだけできるか。そこが大事になってくると思います」