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野球におけるアナウンサーの重要性。
MLBには監督とトレードされた人も!
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2016/04/28 10:40
野球がラジオと相性のいい競技だと言われる中には、アナウンサーたちの個性と魅力が大きく寄与していた。
日本に“地方の名物アナウンサー”は生まれるか。
日本のスポーツ・ファンならどんな世代でも、高校野球やサッカーの日本代表、あるいはオリンピックやプロレスの実況中継に熱狂した記憶はあるはずだ。ところが長らく中央集権型の実況中継を行ってきたため、高校野球における朝日放送(当時)の植草貞夫さんや、プロレスやF1における古舘伊知郎さんのような“名物ブロードキャスター”は輩出できても、スカリー氏やオーシージョ氏のような存在は輩出しようがなかったのだと思う。
国土が狭く、本拠地というよりは親会社主導で成り立ってきた日本独自のプロ野球経営の中では、地方の名物ブロードキャスターが育たなかったのも仕方がない。それでも柳沢慎吾さんや我々のようなスポーツ・ファンの中に“実況中継=ブロードキャスティングという名の野球文化”が刻み込まれているという事実。日本のプロ野球にはまだまだ、やるべきことが残されている。
今さら米国のような地方独立型の野球メディアを真似るべきだ、などという机上の空論を主張するつもりはない。今では地上波の代わりにCS放送などの専門チャンネルや、ライブストリーミング動画共有サービス「ニコニコ生放送」(ニコ生)で実況中継が台頭していると聞く。そういった場所で“名物ブロードキャスター”が現れるかどうか。ちょっとだけ深く、長い目で、考えてみたっていいことではないかと思う。