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遠藤航がいるから、阿部勇樹は前へ。
浦和の中心は「守備感覚の似た2人」。
posted2016/04/27 10:40
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
強力な攻撃陣を擁する川崎フロンターレを1-0で完封勝利した浦和レッズ。これでリーグ戦の完封勝利は3試合、スコアレスドローに終わった横浜F・マリノス戦(4/10)を カウントすれば、零封試合は4試合目だ。
戦績(6勝1敗1分)は昨年(6勝2分)とほぼ同ペースだが、チームの戦い方はまったく異なる。前線から積極的にプレスを掛けてボールを奪って早く攻める。今季は相手を完全に封じ込める圧倒的な戦いに浦和は挑戦しているが、川崎戦でもその姿を見せてくれた。カウンターで危ない場面はあったが、シュートを6本に抑え決定機は一度きり。試合を完全にコントロールしていたと言える。
献身的な守備を率先してこなしていた前線の選手の貢献も非常に大きいが、今の浦和のサッカーの肝になっているのは、ボランチの阿部勇樹とリベロの遠藤航である。雰囲気や佇まいは異なるが、実はプレースタイルがよく似ているこの2人の補完関係がなければ、今の浦和のサッカーは成立しないのだ。
阿部が最終ラインに下がる回数が減った。
まず、大きな変化がみられたのが阿部のポジションである。
昨年までの阿部は、最終ラインに入ってビルドアップに関わり、守備でもしばしば最終ラインに入るなど後ろに重心を置いたプレーが主だった。だが今シーズンの阿部は、最終ラインに下がる回数が減っている。
「確かにそれは昨年と違います」
阿部自身も認めるように、“前め”でのプレーが増えているのだ。
「前に比重を置くようになったキッカケは、ジュビロに負けた試合です。あの時は自分が下がって前線との距離が開いてしまい、1トップが孤立してしまった。いい攻撃ができなかったし、攻守をうまく切り替えることができなかった。自分を含めて後からラインを上げていけば前線の選手が落ちてくることはないんで、それ以降は前との距離を意識してプレーするようになりました」
意識に変化をもたらしたのは磐田戦だが、阿部が考える“前め”のプレーを可能にしたのは遠藤の存在である。