Jをめぐる冒険BACK NUMBER
大久保「完敗」、小林「強かった」。
川崎に完勝した浦和、遂に完成形へ。
posted2016/04/26 17:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
J1で首位を走っていた川崎フロンターレが、ついにリーグ初黒星を喫した。土をつけたのは昨季、無敗のままファーストステージを駆け抜けた、3位の浦和レッズだった。
4月24日に等々力陸上競技場で行なわれた序盤戦の大一番、スコアは0-1と最小得失点差での決着だったが、「浦和、強し」を印象づけるゲームだった。
どうやらピッチ上での肌感覚も、スタンドから感じたものと同じだったようだ。
川崎の大久保嘉人が「ここまで完敗したのは今季初めて」と言えば、小林悠も「やっぱり強かった」と認めていた。また、浦和の槙野智章も「試合が終わったとき、川崎の選手が“強え”ってこぼしていた」ことを明かした。
この日の浦和でまず目を奪われたのは、テレビの解説を務めた鈴木啓太氏も感嘆するほどコンパクトに保たれた守備ブロックだった。
とりわけ前半は、ディフェンスラインをかなり高く押し上げ、川崎の選手たちを狭いエリアに閉じ込めた。ボランチの柏木陽介は中村憲剛のマークに当たり、中村が後ろに下がれば、代わって李忠成や興梠慎三がプレッシャーをかけに行く。
「必ず誰かが自分のマークに来ていた」と中村は振り返ったが、浦和が施した策はそれだけではない。阿部勇樹が巧みなポジショニングで中村、大島僚太から大久保、小林へのパスコースをふさぐ。
阿部が憲剛と大島からのホットラインを遮断。
その象徴的なシーンが20分にあった。押し込まれていた川崎が自陣でボールを回収し、中村が素早く前線にパスを送ったが、そこに立ちふさがったのが、阿部だった。
「川崎のパスの出し手はほぼ憲剛選手と大島選手。そのパスを出させなかったのがよかった。コンパクトに守り、大久保選手、小林選手とのホットラインを遮断できた」
そう語ったのは、宇賀神友弥だ。ここまでリーグ7試合で18ゴールを叩き出してきた川崎にわずか一度の決定機しか許さなかったのは、自信を持つのに十分だろう。