何年も一緒にプレーしているような2人の連携。

　遠藤がGKの前で仁王立ちすることで阿部は2次、3次攻撃に繋げるためにセカンドボールを拾ったり、次の攻撃の準備に専念できる。川崎戦では、阿部を始め浦和のセカンドボール回収率が非常に高く、そのまま再攻撃を仕掛けていた。遠藤は、「昨年までの阿部さんのプレーは知らないけれど」と前置きしたうえでこう話してくれた。

「僕はできるだけラインを下げず、阿部さんに前でプレーしてもらえるようにしています。相手FWにパスが入る前に止めてくれたり、コースを限定してくれるので、後ろの僕らは助かるし、狙いやすい。仮にパスが通っても1対1で対応できるし、我慢していれば誰かがフォローにきてくれるので簡単にはやられない。守備が機能して失点が少ないのは前線からの守備が効いているのも大きいですが、阿部さんと僕ら最終ラインのコンビネーションがすごくいい感じになっているのも大きいと思います」

　その“すごくいい感じ”は川崎戦でも発揮された。気が利くリベロの遠藤が常に阿部の動きを見て、先を読みながらうまくバランスを取っていた。そして後ろに信頼できる相棒を得た阿部が、相手のパスと動きをことごとく潰していった。守備の感覚が似ているせいもあるのだろう。もう何年も浦和で一緒にプレーしていたかのように、2人はスムーズに連携が取れているのだ。

昨年のファーストステージよりも今の方が強い！

　恐いのは、阿部か遠藤のどちらかが欠けた時である。1プラス1が3以上になっている2人の関係を、他の選手が穴埋めするのは難しい。リオ五輪の期間中遠藤は不在になるだろうが、その時、浦和の本当の強さが試されることになる。

　川崎戦に勝ち、浦和は首位に立った。

「優勝するチームは失点が少ない」

　阿部は優勝の条件とも言える手堅い守備に手応えを感じ、他の選手たちは1度も負けなかった昨年のファーストステージよりも今のチームに“強さ”を感じている。その強さを2人の鉄人が地道に支えている。