熱血指揮官の「湘南、かく戦えり」BACK NUMBER
連敗中でもハードな練習&若手抜擢。
湘南・曹監督と選手の途切れぬ闘志。
posted2016/04/27 17:00
text by
曹貴裁Cho Kwi-Jae
photograph by
Shonan Bellmare
本連載では、湘南ベルマーレを率いる曹貴裁監督が、試合に臨むまでの過程を記した前週の日記と実際の試合結果を受けての胸中を同時に紹介。
悩み、考え、決断する監督のリアルな声を毎週お届けします!
今週のテーマは、連敗中だからこその「自分たちの良さを呼び醒ます作業」。
*本連載ではチョウ・キジェ監督の氏名表記方法につきまして、湘南ベルマーレとの協議により「曹貴裁」と統一いたします。
<第8節・大宮戦前週の監督日記>
●4月19日(火)
先週の鹿島戦に向けては、甲府戦のショックを引きずることなく良い準備ができたという手応えがあったが、結果的には力の差を見せつけられる敗戦となってしまった(0-3)。
こういう時期は、悪い所を探すといつも以上にそのことがクローズアップされてしまうのがチームという生き物の難しいところ。だからといって悪いところに目をつぶり、チームに危機感を持たせないというやり方もまた違う。鹿島戦の課題を修正するだけでも、自分たちの良さを磨くだけでもなく、自分たちが大切にしてきたことの質やそのあるべき基準に立ち返ることが重要になる週だと思っている。
勝てない状況が続くと選手が自信なさげにプレーする場面が見られるようになり、開幕当初はあった前への推進力がどこか薄れてしまっているように感じる場面がある。それは選手がモチベーションをなくしているからではなく、責任感があるが故に必要以上に自分に矢印を向けすぎてしまい、それがグループ全体の活力を削いでしまっているからだ。
僕は大学卒業後、短いながらも日立製作所に勤めたが、15階建てビルの各階に営業や経理といった部署があって、その中にマーケティングや企業宣伝を担当する細かいグループがあった。それがさらに2、3人のグループになって、という構造の中で、それぞれが自分のミスだけを解決していけば生産性が上がるかと言えばそうではない。
個人もそうだけどグループ、チームという単位でも仲間どうしで課題を見つけ、みんなで克服して前進していく。そういうマインドが組織として間違いなく重要で、我々にとっても今がまさにそう。今の状況に対して全員が当事者意識を持って取り組むことがすごく大事だと思っている。
今週は自分たちの良さを取り戻すべく、鹿島戦のビデオを見ながら開幕の新潟戦に比べて自分たちに足りなかったところの話をした。
自分たちの良さを呼び醒ます、そういった作業。明日のヤマザキナビスコカップ(磐田戦)はこれまで先発出場の機会がなかった選手がピッチに立つ可能性が高いが、それはチャンスを与えたという意味ではなく、求められることをしっかり練習で見せてきたからこそ得た資格だ。自分が湘南ベルマーレという会社の一員として、その企業風土を担う重要な存在なのだということを意気に感じ、自分の良さを出してくれることに期待したい。