eスポーツは黒船となるかBACK NUMBER
eスポーツが日本で急拡大する3要因。
「○○離れ」した若者を吸収中!?
text by
八木葱Negi Yagi
photograph byNegi Yagi
posted2016/04/16 10:40
『リーグ・オブ・レジェンド』の日本一決定戦のチケットは追加販売分まで完売し、会場は超満員となった。
「日本人選手が世界で戦い、勝つ」ことの重要性。
2つ目は、他の競技と同じように「世界で戦う」選手たちが登場したことが大きい。
サッカー、野球、そしてラグビーなど、日本を代表して世界で戦う選手が人気を集める構図は、加速的に進行している。
日本で「プロゲーマー」という言葉が広がったのは、2010年に「ストリートファイター」シリーズの人気プレーヤー・梅原大吾がギネスブックに登録された、つまり世界に認められた時だった。
LoLの代々木大会も、勝った方がメキシコで行われる大会への出場権を手にし、メキシコで優勝すればさらに上海での世界大会に、と世界への道が開かれている。
華やかではあっても遠く感じられた世界の舞台が、日本の選手が登場したことで身近になる。このサイクルが、多くのタイトルで起こっているのも見逃せない。
車や音楽から離れた若者が、ゲームをしている!?
そして3つ目としては、eスポーツの投資先としての魅力をあげないわけにはいかないだろう。
日本がゲーム大国なのも、散発的にではあっても世界で戦うプレーヤーがいたのも、決してここ数年のことではない。それが一気にeスポーツという形で花開いた陰には、この「大人の事情」が絡んでいる。
LoL世界大会の視聴者数はゴルフのマスターズにも匹敵し、その大多数は30代以下の若者である。
音楽や車など、「若者の○○離れ」と言われるものは数多くあるが、では彼らが何に時間を使っているか、という問いの答えの1つが、着実にパイを拡大しているゲームなのだ。
2015年の7月から12月の6カ月で、主にゲームの動画を配信するサイト『Twitch』でeスポーツ関連タイトルが視聴された時間は、4億7550万時間に及ぶという。月にならせば7990万時間、世界の若年層の時間をこれだけ占有しているものが他にどれほどあるだろうか。
eスポーツに直結するハイスペックなPCのメーカーなどはもちろん、若年層へのリーチを望むスポンサー企業や、視聴者や読者のニーズを探しているメディアがこの分野のポテンシャルに気づいたことが、この1、2年での急拡大を後押ししているのだ。