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ハリルが原口元気を重用する3要因。
ユーティリティ、若さ、そして……。 

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田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2016/04/02 11:00

ハリルが原口元気を重用する3要因。ユーティリティ、若さ、そして……。<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

「無難なプレーが必要なら自分が使われる理由がない」。自らそう言い切った原口元気のボランチ起用、今後も見られるか。

ボランチへの適性を垣間見せたワンプレー。

 一方の原口は、もっと率直に試合を振り返った。

「攻守のバランスを取れと言われても、どうやればいいかわからなかった。だから球際で闘うことと、前に出ていくことを意識しました。(香川)真司くんにも、もっとボランチを勉強しろと言われました」

 これは偽らざる本音だろう。シリア戦での全般的なパフォーマンスを基準にすれば、原口を最終予選でもボランチとして起用するのは、守備の面でのリスクが大きいと言わざるを得ない。

 しかしシリア戦に関しては、自ら5点目を決めたシーン以外にも、断片的にキラリと光るものを見せた場面もあったように思う。

 相手がカウンターに転じようとする場面で積極的に飛び出して攻撃の芽を積み、逆に攻勢につなげるケースは一度ならずあった。原口が持つ積極性と縦への意識、Duelの強さが、チームの中でうまく生きたケースだ。タッチライン沿いに相手を追い込む展開もできていたし、34分には右サイドに流れた長谷部にサイドチェンジのパスを出し、そのまま本田のシュートチャンスへとつながっている。

 さらに後半45分には、ゴールにより結びつくプレーもしている。本田からパスを折り返された原口は、チェイスしてこようとする相手の裏をかいて前線にロビングを供給。香川が4点目をもたらす起点になった。

 ゴールが決まった瞬間、5万7000名もの観客の目とカメラの砲列は香川の周りにできた選手の輪に自然に注がれた。原口はといえば、腰に両手を当てながら香川たちの様子を眺め、満足そうな笑みを静かに浮かべただけだった。

 しかし周囲にいたチームメイトは、もちろん原口の貢献に気がついていた。ピッチ上に一人佇む原口に酒井高徳と森重真人が近づき、密かなファインプレーを讃えたシーンは実に感動的だった。

アグレッシブなまま、戦術的ディシプリンを。

 原口と日本代表は、どう進化していくのか。

 個人的には原口元気という選手に対して、成熟を期待する反面、いい意味で大人になりすぎて欲しくないという気持ちもある。プレースタイル同様、アグレッシブという言葉がまさにしっくりくる気性の強さこそは彼の持ち味であり、最大の魅力だからだ。

 だが積極的な姿勢を維持しながら、ハリルホジッチ監督が言うところの「タクティクス」、つまり戦術的なディシプリンを身につけていけば、代表を活性化させるためのさらに大きな武器になるのは間違いない。たとえポジションはどこであっても、である。

 メンタル面と戦術面の両方において、一皮も二皮もむけていけば、香川がゴールを奪う起点となった時のように、満足げな笑みを浮かべる場面は確実に増えるはずだ。その思いがあればこそ、ハリルホジッチ監督は原口を起用し続けているのではないか。

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