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“オーナー”本田圭佑が描く、
SVホルンの未来と哲学。 

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/03/29 14:00

“オーナー”本田圭佑が描く、SVホルンの未来と哲学。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

なぜ日本ではなく、欧州の小さなクラブなのか?

 そもそも僕がなぜ、ヨーロッパのトップリーグではないクラブに目をつけたのかというと、扉の広さなんです。

 Jリーグはヨーロッパのリーグと比べても、プレーのレベルは高い。では、Jリーグ自体がヨーロッパのリーグで評価されているかと言えば、そうでもないというのが実情です。

 例えば武藤(嘉紀)がマインツに移籍して活躍しているのは、Jリーグの質の高さの証明だと思いますが、なぜ彼が評価されたのかというと、Jリーグでの実績よりは、日本代表でプレーしたことの方が大きいと言わざるを得ない。

 ただ、日本代表に選ばれなくとも、20歳前後でポテンシャルのある選手はたくさんいる。そういった選手はJリーグでプレーしていても世界的にはなかなか評価されづらい。でも、ヨーロッパで似たようなレベルのクラブ、つまりそれが2部だろうが、3部だろうが、そこで活躍すれば、必ず誰かの目にとまって評価される。それは僕自身がオランダ2部リーグのフェンロでプレーしていたときの実感なんです。

 実際、フェンロでオランダ2部リーグMVPを獲った後は、オランダ国内のアヤックスやPSVだけでなく、その他のリーグの強豪クラブへの道も拓けていた。それに、僕だけでなく、チームメイトも一気にプレミアリーグやスペインリーグのクラブから注目されるという状況がありました。

 オランダ2部リーグのチーム戦術や組織と比較すると、はっきり言ってJリーグの方がレベルが高い。でも、その中で多少荒削りでも身体能力が高い選手や一芸に秀でた選手などは、一気にトップクラブに引き抜かれたりする現実もある。

 そういった可能性を実感していたからこそ、オーストリア3部のSVホルンに目をつけたわけです。

SVホルンにつながる育成のピラミッド。

 昨年から千葉県の幕張にサッカーグラウンド(ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA)を建設(2016年3月12日オープン)して、ユースとジュニアユースのクラブチーム「ソルティーロFC」を立ち上げました。

 コンセプトは「世界で活躍する選手の育成」。

 だとするなら、世界を知る人材が必要だということで、W杯の経験もある秋田豊さんにスーパーバイザーとして関わっていただいています。

 もともと、僕は2012年に「ソルティーロ・ファミリア・サッカースクール」を開校して、現在では全国に50校(4月には65校に増える予定)ありますが、ベースとなるサッカースクールを三角形の底辺として、ジュニアユース、ユースと上がっていき、ホルンを目指せる道筋を作りたい。

【次ページ】 トライアウトで一般からも幅広く選手を集める。

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