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“オーナー”本田圭佑が描く、
SVホルンの未来と哲学。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/03/29 14:00
今後、どんな形でSVホルンの運営に関わっていくのか?
SVホルンの運営にはすべて関わっています。それこそ、我々(HONDA ESTILO)が右に行くと言えば、右に行くくらいの勢いで。選手の補強やトレーニングのメソッド、さらにはクラブの組織改革から経営戦略まで。
ただ、SVホルンは1922年創設で100年近くの歴史を誇るクラブ。前会長のトーマスはものすごい愛情を注いできたし、2代、3代にわたる根強い地元のファンの存在もある。運営していく前提として肝に銘じておかなければならないのは、そうした方々の想いです。彼らの意を酌みつつ、同時にサプライズを与え続けるというのが大事になってくる。
SVホルンは今まで、ドメスティックな感覚で経営してきたと思う。その意識の枠をオーストリア国内から、ヨーロッパ、アジア、アメリカというふうに、世界全体にビジョンを広げていきたい。
具体的な運営の形態を明かすと、オーストリアでは51%はノンプロフィット、つまりNPOでなければならないというルールがあります。
だから残り49%を有限会社として管理して、NPOには過半数の役員を我々の会社から送り込んでいます。つまり、ほぼ100%、我々の意見が通る仕組みになっている。
ただ誤解してほしくないのは、我々がSVホルンを“買収”したわけではないということ。ノンプロフィットカンパニーなので、買収云々という話にはそもそもならない。それに、僕自身の立場も、ミランの現役選手である以上、SVホルンにおける肩書きはありません。それこそメディアでよく「オーナー」と書かれていますが、それも正確には“実質”ということしか言えない。
SVホルンの5カ年計画。
SVホルンのプロジェクトとしては、5年のスパンで考えています。
まずは今シーズン、オーストリア3部リーグ優勝で2部へ昇格。来シーズンに1部昇格、その後はオーストリアのトップ4、優勝というステップで、5年後にはチャンピオンズリーグのプレーオフへの出場権を獲得するというのが目標です。
僕が描いているSVホルンの最終形態はCL出場権。
ミランのようなビッグクラブの道を模索しているわけではない。それは街の規模や財政的なものも絡んでくる。SVホルンに関しては、ミランやバルセロナ、レアル・マドリーといった強豪へ人材を輩出できるようなクラブにしていきたい。SVホルンを通じてトップクラブへの道が拓かれているということをオーストリア人や日本人のみならず、世界中のサッカー選手たちに示していきたいと思います。