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“オーナー”本田圭佑が描く、
SVホルンの未来と哲学。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/03/29 14:00
トライアウトで一般からも幅広く選手を集める。
ソルティーロ出身でホルン経由ビッグクラブ行きという道がある一方で、一般からも広く募集してトライアウトも実施しています。
トライアウトではもちろん、自分の目を通して選手を見極めています。僕が考える“良い選手の条件”というのは、ひとつではないですが、当然のことながら、技術が高い選手は魅力的です。
もしくは技術はそこまでではないかもしれないけど、足の速い選手やパワーに長けている選手。
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目立った特徴がある選手はどんなタイプでも獲得の対象になると思う。
もちろん、技術もフィジカルもハートもしっかりした選手がSVホルンに来てくれればベストです。でも、我々のクラブはミランでもチェルシーでもレアル・マドリーでもない。どこかに難はあるはずなので、まずは長所を重視して、その中でどういうふうに欠点を補っていくか。テクニック、フィジカル、スピードのどれかでも秀でた選手にプラスアルファで僕自身のハートや哲学を注入していく。そのあたりのノウハウは僕自身の経験から提供できると思っています。
“凡人”である本田圭佑がなぜこの位置にいられるのか?
というのも、僕はサッカーの能力でいえば、本当に低いと言わざるを得ない。
それは小さい頃から常に実感してきたことで、ガンバ大阪のジュニアユースに所属していた時も、周りにいた同級生の方が明らかに上手かった。当然のことながら、ガンバユースに昇格できなかったんです。普通の人間だったら、そこでプロになるのを諦めるのだと思う。でも、僕にはその逆境こそが必要だった。
結果的には星稜高校に進んで、名古屋グランパスに入って、21歳でオランダのフェンロに移籍した。自分のイメージからすると、随分遅いけれども、29歳の今はミランの10番を背負っている。“凡人”である僕が何で、ここまで来れたのかと言えば、逆境をバネにした精神力と圧倒的な努力なんです。
日本代表の練習でも、スキルの面では自分より上手いなと思う選手がたくさんいる。特に若い選手は、細かいタッチが上手で、思わず感心してしまうことすらある。
そんな自分がなぜこの位置にいられるのか? 何度も言うように、サッカーはスキルだけではない。むしろスキル以外の部分が勝敗を分けることも多々ある。僕はそのことに早い段階から気がついて、真剣に着手した。試合に勝つために大事なものは日々の努力で補える。今、目の前にある課題、困難な問題をいかに解決するのか。それをサッカー選手・本田圭佑としては証明してきたつもりではある。
もちろん、もっと上はあるし、それを目指している。でも少なくとも、サッカー選手としてスキルでは並の人間が、ミランの10番に行き着くまでの道は見えているわけです。