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故障不安のヤクルト打線に救いの手。
坂口智隆が1番・センター固定濃厚! 

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日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/03/25 10:40

故障不安のヤクルト打線に救いの手。坂口智隆が1番・センター固定濃厚!<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

近鉄時代を知る最後の選手だった坂口だが、今季ヤクルトへ移籍。オープン戦では好調な打撃を見せた。

オープン戦の“隠れ首位打者”。

 特に注目したいのは、オリックスから移籍した坂口智隆だ。昨季は右ヒジを痛めた影響もあって36試合の出場にとどまったが、オープン戦では全19試合に出場(うち18試合がスタメン)。コンスタントに安打を放ち、打率は.415にまで達した。規定打席に届かなかったため打者成績ランキングから名前は消えたものの、あと1打席でも立っていれば堂々1位の“隠れ首位打者”である。

 実はヤクルトにとって、1番・センターの固定は積年の課題だ。2011年、不動のレギュラーだった青木宣親がチームを去って以来、シーズンを通して外野の真ん中を守り続けた選手は出てきていない。

 2013年、当時の小川淳司監督は激化するセンター争いをこう表現していたことがある。

「俊足の選手もいれば打撃のいい選手もいて、三者三様どころか五者五様ですよ。センターですから守備重視の人選になるかなとは思うけど、点が取れない状況が続けば攻撃型にシフトすることも考えている。ひとつ言えるのは、5人がひしめいている状況の中で、我慢して誰かを使い続けることはない、ということです」

申し分ないオリックス時代の実績。

 小川の言った“五者”とは、上田剛史、雄平、飯原誉士、松井淳、比屋根渉を指している。あれから3年が経ち、雄平は主にライトで起用されるようになり、センターは上田と比屋根が出場機会を分け合う構図となっている。

 この2人は俊足で守備力に定評がある一方で、打撃が課題とされてきた。1番打者に求められる出塁率も、昨季は上田が.313、比屋根が.300と、青木が残した数字(ヤクルト在籍通算8年で.402)に遠く及ばない。

 その点、坂口の実績は申し分ない。かつてオリックスで不動の1番・センターを務め、ゴールデングラブ賞に輝くこと4度(2008~2011年)、2011年には最多安打(175安打)のタイトルも獲得している。

 問題は、2012年に右肩を故障して以来、本来の成績を残せていないことだったが、オープン戦での活躍でその不安は払拭されつつある。

【次ページ】 昨季叶わなかった日本一を狙うために。

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