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故障不安のヤクルト打線に救いの手。
坂口智隆が1番・センター固定濃厚!
posted2016/03/25 10:40
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
NIKKAN SPORTS
セ・リーグのディフェンディングチャンピオン――この称号はおそらく、ヤクルトにとって何の意味も持たないだろう。
6球団の中に、特に際立った補強に踏み切ったチームは見当たらない。新人は各球団の上位指名選手がそれぞれに持ち味を発揮しており、助っ人の出来もシーズンが始まらないことには何とも言い難い。要するに戦力的な変動に乏しいオフを経た今季のペナントレースは、昨季からの混戦の様相を引き継ぐ展開になると予想される。
むしろ昨季の優勝チームであるヤクルトは、他球団のターゲットとなることで苦戦を強いられると考えた方がいいのかもしれない。
ヤクルトの強みは、投手陣のもろさを補って余りある攻撃力だ。昨季、大車輪の活躍を見せた川端慎吾、山田哲人、畠山和洋は言うに及ばず、雄平、バレンティンと中軸打者の名前はすらすらと挙がる。
不安が的中、負傷者が……。
しかし春季キャンプでは畠山が腰痛で一軍から離脱し、川端もインフルエンザにかかって調整の出遅れを余儀なくされた。契約最終年を迎えて復活が期待されるバレンティンまでもが、ここにきて左脇腹の肉離れで開幕戦の出場は絶望的と報じられた。
先日、ある野球解説者に今季の展望を聞く機会があった。オープン戦もまだ始まっていない時期だったが、ヤクルトについてのコメントが示唆的だった。
「打つ方はセ・リーグでナンバーワン。それは間違いないけど、ケガ人が出た時の代わりがまだ育ってないですね。レギュラーがきっちりという感じになっているので、ケガ人が出た時にはガタガタになるかもしれない。開幕までにケガ人が何人か出るようだと、苦しいスタートになると思います。代わりがいないですから」
打撃陣に関しては、その予想が的中する形となってしまったうえに、オープン戦でのチーム防御率は4.53と12球団中ワースト。投手力への不安もいまだ拭いきれずにいるのだ。
ただ、明るい話題がないわけではない。