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モウリーニョの後任はライバル監督?
ポチェッティーノが「最適」な理由。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2016/03/13 10:50

モウリーニョの後任はライバル監督?ポチェッティーノが「最適」な理由。<Number Web> photograph by AFLO

トッテナムとの契約期間は5年間。しかし、急速にステップアップするポチェッティーノを引き止められるか。

モウリーニョの「品格問題」も解決が可能?

 そして、補強不足への不満を露にしなかった態度も見事だ。この自制もアブラモビッチ体制に向いている。ポチェッティーノは、判定が不利に働いた試合後も、声を大にして審判非難を唱えるようなことはない。伝統の一部として品格を求めるアブラモビッチは、2度目のモウリーニョ就任時には自粛を求めたとも言われている。それでも物議を醸すモウリーニョの言動が影を潜めることはなく、選手を批判したことを最後に再び袂を分っている。コンテには、キャラクター的にモウリーニョの二の舞になりかねないという懸念が国内メディアで指摘される。

 コンテとアッレグリの両イタリア人監督は英会話レッスンを受講中とも報じられているが、トッテナムのアルゼンチン人指揮官は、会見に通訳がいらなくなって久しい。

 そして、言葉と同等かそれ以上に重要な、プレミアでの実務経験。44歳と噂の候補中では最年少監督で、主要リーグ優勝歴やCL経験では他候補に敵わないポチェッティーノだが、マンUでファンハールが苦しんでいる事実は、プレミア経験のメリットを改めて多くの人に認識させる結果となった。

最後は、本人の「野心」次第か。

 もちろん、全ては本人にその気があればの話。巷には懐疑的な声もある。トップ4以内でのCL復帰が濃厚なトッテナムに対し、中位止まりがあり得るチェルシーは今季CLでも決勝トーナメント1回戦敗退が決まり、来季は欧州の舞台から消える可能性が高い。

 とはいえ純粋に、「名実共によりビッグなクラブ」という観点で眺めれば、チェルシーへの転職をステップダウンとは受け止め難い。そもそもポチェッティーノは、就任から僅か1年半でサウサンプトンを去ってトッテナムにきた野心旺盛な監督だ。当時のトッテナムは、監督交代を繰り返し、停滞のリスクが高い新任地だと言われてもいた。本人がチェルシー行きを望み、チェルシーも引抜きに要する違約金支払いを厭わないとなればトッテナムにヘッドハント阻止は難しい。契約期間が3年以上残っているにもかかわらず新契約提示の用意を進めていること自体、引き抜きを恐れている証拠だ。

 当人は年明けの時点で「続投」を示唆しているが、優勝を争っているシーズン中にチームの士気を乱すような発言をするはずがない。ことを荒立てない主義のポチェッティーノであれば尚更だ。『静かなアメリカ人』ならぬ「静かなアルゼンチン人」は、その特長も言動もアブラモビッチのチェルシー向き。メディアでは地元ライバルからの「衝撃的な人選」とも言われるが、実際には噂の候補4名中で最も「理想的な人選」と言っても良さそうだ。

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