プレミアリーグの時間BACK NUMBER
モウリーニョの後任はライバル監督?
ポチェッティーノが「最適」な理由。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2016/03/13 10:50
トッテナムとの契約期間は5年間。しかし、急速にステップアップするポチェッティーノを引き止められるか。
ポチェッティーノの攻撃志向はチェルシー向き?
その点ポチェッティーノが志向するスタイルは、ハイライン、ランニング、プレッシングを三大原則とする積極果敢な戦い方であり、見応えのあるサッカーを好むアブラモビッチの嗜好にも合っている。トッテナムが今季のリーグ優勝候補として名乗りを上げた26節マンチェスター・シティ戦(2-1)を見ても、終盤に4人がかりでボールを奪いにいく貪欲な姿勢が、カウンターでの決勝点をもたらした。アウェイで後半残り15分の時間帯に、戦力で勝る相手に追いつかれても、無難な引分けをよしとしない強気な姿勢がなければあり得ない勝利だった。
今季のトッテナムがビハインドから反撃して奪ったポイント数は、3月5日の29節アーセナル戦(2-2)までで「18」に上る。2位対3位で「プレミア史上最大の北ロンドンダービー」と言われたそのアーセナル戦でも、ポチェッティーノ軍団は果敢だった。
この日のアーセナルの最優秀選手は何度もセーブで危機を救ったGKのダビド・オスピナだが、トッテナムはアウトサイドからの脅威となった左SBのダニー・ローズだろう。
後半に2-1と逆転しておきながら最終的に引分けに終わり、レスターとの差が5ポイントに開いた点はもちろん反省材料だ。アブラモビッチのチェルシーは、内容がいかに魅力的でも、結果に目を瞑ってもらえるような環境ではない。但し最近は、ポチェッティーノは結果を意識して攻守のバランスを微調整する一面も垣間見せるようになっている。
今季は得点がリーグ3位、失点はリーグ最少!
昨季のトッテナムは、「常に追加点を狙う姿勢が大切」と公言していた指揮官の下で失点の多さに泣いた。プレミア随一のGKであるューゴ・ロリスのセーブ能力をもってしても、失点数はトップ10最多の「53」。今季のトップ4狙いが難しいと思われた理由も、守れない弱さにあった。
それが今季は、開幕29戦でリーグ2位タイの51得点を上げながら、失点をリーグ最少の「24」に抑えている。昨季は29節終了時点で42失点だったことを考えれば大幅な削減だ。最終ラインには、開幕前にトビー・アルデルバイレルトという即戦力を加えているが、新CB1人の力で実現できるレベルの守備改善ではない。