野球善哉BACK NUMBER
侍ジャパンをリスクにしないために。
シーズン外の投球を、改めて考える。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNanae Suzuki
posted2016/03/02 10:30
侍ジャパンは選手に成長の機会を与えることも多いだけに、コンディションだけにはくれぐれも注意してほしいものだ。
プレミア12メンバーの体調を聞いてみると……。
春季キャンプ取材中、代表候補選手の状態を確認するために視察に来ていた小久保監督と同じグラウンドに居合わせた。そこで記者会見に出席したのだが、小久保監督の言葉から、選手のコンディションへの配慮を感じ取ることはできなかった。
小久保監督は今回の強化試合について「あくまでも照準はプロ野球の開幕に絞って、強化試合は調整の場だと思ってもらっていい」と語っている。しかし現実問題として、侍ジャパンのユニフォームを着て「調整」に徹することが選手たちに可能なのだろうか。JAPANのユニフォームがもたらすプレッシャーは、指揮官が思っている以上に大きい。
キャンプでの会見の中で、小久保監督に「プレミア12のメンバーの体調面について、去年投げて疲れているはずだが気にかけているのか?」という質問をぶつけてみた。
「気にはなりますね。3月に集まった時に、フィードバックしようとは思っています。11月にいたメンバーに関しては、疲労の抜け具合や立ち上がり当初の状態がどうであったかなどは聞いておきたい」
つまり、指揮官は選手のコンディション問題を、選手とのやり取りの範疇で解決しようとしているということだ。それも、限りなく感覚的な話に近い。
行なわれたのは、選手へのヒアリング。
実は「プレミア12」の代表選手発表記者会見の際にも、同じ問題が浮上している。「投手の肩、肘への負担対策は個人任せ」(中島大輔)という記事タイトルで、経済メディアサイト『NewsPicks』が侍ジャパンの選手選考について問題提起をしている。
以下はその記事中での、中島記者と小久保監督のやりとりだ。
「プレミア12で投げることでの負担が今後、どういう影響が出てくるか、小久保監督か侍ジャパンが検証していくことはありますか?」という質問に対してこう答えている。
「11月に行われた後の来シーズンに向けてですが、昨年も日米野球がありました。まず侍ジャパン自体が球界としてスタートしている認識が選手たちには浸透しつつある中で、11月まで侍ジャパンのトップチームの動きがあるという認識で身体のケア、強化を含めて、選手たちは取り組んでくれています。個々の選手の中では、もちろん11月は休ませなければいけないという選手もいると思います。今回は世界大会ということもあって、今シーズンしっかり戦った選手たちに声をかけています」
「その後、検証というのはこれから先、侍ジャパンの組織としてやっていかなければいけない部分もあるかもしれないですけど、終わった後、選手たちにヒアリングをしながら、疲労のとれ方は本人たちしかわからないので、そういうことも必要かなと思いますね」