野球善哉BACK NUMBER
侍ジャパンをリスクにしないために。
シーズン外の投球を、改めて考える。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNanae Suzuki
posted2016/03/02 10:30
侍ジャパンは選手に成長の機会を与えることも多いだけに、コンディションだけにはくれぐれも注意してほしいものだ。
選手のタイプ、投球数などを記録すべき。
記事の中でも指摘されているが、身体のケアについて組織的な取り組みがなく、選手個人の裁量に任せられているという点は問題視しなければならない。これは、先に書いたキャンプ中の小久保監督の言葉とも重なる。
小久保監督と選手による感覚的なヒアリングは、もちろんやらないよりは良いのだろうが、それだけで本当の解決にはつながらない。将来も見据えて方向性を改善するには、選手個々の「感覚」だけでは判断材料として不足すぎる。
その投手がどういうタイプ(球速、変化球の種類など)で、シーズンで何試合に登板し、イニング数、球数はどれくらいだったのか。侍ジャパンでどれだけの試合に登板し、どのようなオフを過ごし、シーズンの調整を行なったのか。そのうえで、数年にわたって選手たちのパフォーマンスを注視する。
そういったことを、組織的にしっかりと行う必要があるだろう。
もちろん、侍ジャパンの活動をやめようという議論をしているのではない。昨年のラグビーW杯に代表されるように、スポーツ界における国際大会の価値は計り知れないものがある。だからこそ、世界大会、つまり野球でいえばWBCに出場して頂点を目指すことに異論はない。
しかし感覚的なものに頼って、選手をリスクにさらすことにはやはり賛成できない。
NPB、侍ジャパン、球団、選手自身、そしてメディアやファン……。
日本の野球界はもっと選手の身体にデリケートになるべきなのだ。