サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
U-23がイラクに勝つための3大要素。
開始10分、ロングボール、サイド。
posted2016/01/26 10:40
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Takuya Sugiyama
リオデジャネイロ五輪の出場権を懸けて、準決勝で日本はイラクと激突する。イラクは個の能力では準々決勝で戦ったイランを上回り、攻撃陣がタフで非常にやっかいなチームだ。
現チームにはA代表の選手が数名おり、昨年6月11日、日産スタジアムで戦ったイラク代表のメンバーに入っていた選手も5名いる。GKファハド・タリブ・ラヒーム、DFサード・ナティク・ナジ、MFフマム・タレク・ファラジ、MFサイフ・サルマン・ハシム、FWマフディ・カミル・シルタグである。
その当時、まだ19歳ながらスタメン出場を果たしてたのが、フマム・タレク・ファラジだ。169センチと小柄ながらスピードとレフティの技術の高さで「イラクの香川」と呼ばれており、キャップ数はすでに30もある。準々決勝のUAE戦でもスタメンで出場し、右サイドから左サイドにポジションを移動しながらプレーしていた。
だが、この試合では時間を追うごとに存在感が消えていった。コンディションが悪いのか、体が重そうでキレ味鋭いドリブル突破やひらめきを感じさせるパスがほとんどなかった。グループリーグでも目立たず、調子がいいとはいえない。とはいえ、もともと能力が高い選手なので要注意だ。
サイドのスピードと、CFの高さに注意。
今大会でファラジよりも恐さを感じたのは、10番を背負うアリ・ヒスニー・ファイサルである。サイドMFだが馬力を活かしたスピードと突破力があり、DFの裏を取るのもうまい。マッチアップするサイドバックはうまく距離を取りながら細心の注意を払って対応しなければならない。
もうひとり要注意の選手がいる。FWのフセインだ。186センチの大柄なセンターFWだが足元の技術があり、ポストプレーが非常にうまい。UAE戦では途中出場だったが、ロングボールの時はほぼ競り勝ち、ボランチの背後に落としてサイド攻撃という流れを作っていた。
延長戦前半では最終ラインからのボールを相手DFとの競り合いに勝ってMFアムジェドに繋ぎ、ヘッドでサイドに落としてFWモハマド・アブドゥラヒムの決勝ゴールを生んだ。植田直通、岩波拓也は肉弾戦での厳しい戦いを強いられるが、競り勝てない場合でも体を当ててセカンドボールを自由にさせないなどの対応が求められる。