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U-23がイラクに勝つための3大要素。
開始10分、ロングボール、サイド。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/01/26 10:40
イラクの強さは「個」に拠る部分が大きい。まずは局面の勝負で体を張って一歩も引かないことが重要だ。
攻略の糸口もサイド攻撃にある?
個々の選手を上げていくと改めてイラクの強さを感じるが、完璧な強さを保持しているわけではない。
たとえば個々の攻撃力は高いが、決定力は高くない。UAE戦でも前半に何度かあった決定的チャンスを生かせなかったし、90分内での得点は相手DFのクリアーがたまたまMFアリ・ヒスニに当たってこぼれたのがラッキーゴールになっただけだ。
失点シーンでは、相手のセンタリングに反応が遅れ、オウンゴールで失点した。セットプレーでもイラクDF陣はボールウォッチャーになる傾向が高いので、セットプレーやイラン戦での豊川雄太のゴールのようにサイドから精度の高いクロスが上がれば、日本の得点の可能性は非常に高くなるだろう。
また、日本、イラクともに準々決勝を120分戦ったが、日本は中3日、イラクは中2日で試合を迎えることになる。この段階での中1日の差は非常に大きく、それは試合の時間を追うごとに動きの差となって表れてくるだろう。コンディション面では日本が優位に立っているのだ。
勝利のためのポイントは3つ。
そうしたことを踏まえて、日本がイラクに勝つためのポイントは3つある。
まず、試合の入りだ。イラクはキックオフ直後から約10分程度、人数とパワーをかけて強引に点を取りにくる。そこで絶対に失点しないことだ。イラン戦のように我慢して粘り強く対応し、開始から10分間を凌ぐことが最初のポイントになる。
2つめは、ロングボール攻撃とセカンドボールへの対処だ。北朝鮮戦では植田と岩波がことごとくロングボールを跳ね返していたが、フセインは北朝鮮の選手の比ではない強さがある。前線にポイントを作られて、セカンドボールをつなげられるとイラクの攻撃が活性化する。
日本は、イラン戦、サウジ戦でもロングボールからセカンドボールを失うシーンが多かった。ポジショニングが悪く、セカンドボールへの反応自体も遅かったので、相手にことごとくセカンドボールを拾われ、最終ラインとの勝負に持ち込まれていた。イラクはイラン以上にアタッカー陣が強烈なので、イラン戦のようにセカンドボールを失い続けると、失点の危険性はより一層高まる。セカンドボールにいかに早く反応し、しっかりとおさえるか。その成否がゲーム展開を大きく左右することになるだろう。