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バルサBが選んだ「育成より残留」。
25歳の選手を獲得して若手を放出!? 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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posted2016/01/21 10:30

バルサBが選んだ「育成より残留」。25歳の選手を獲得して若手を放出!?<Number Web> photograph by AFLO

トップチームは現在リーガで2位。世代交代が喫緊の課題ではないという余裕もサブチームの扱いに影響したか。

才能や努力ではなく、運によって切られた選手たち。

 自らの意思で移籍を決断した選手はまだ良い。10歳から11年間バルサでプレーしてきたマケドニア代表MFダビド・バブンスキ(21)、13歳から7シーズン在籍したMFポル・カルベット(21)、エトー財団の手でバルサ入りしたカメルーン代表GKファブリス・オンドア(20)とDFフランク・バニャック(20)、昨年10月のコパデルレイでトップチームデビューを果たしたばかりのFWアイトール・カンタラピエドラ(19)らはみな、クラブから一方的に戦力外通告を受けての契約解除という形で退団を余儀なくされている。

 こうしたチームの大改造が功を奏し、バルサBは先週末のリーグ戦で5試合ぶりに勝ち点3を手にすると共に、降格圏から抜け出すことに成功した。この試合では4人の新戦力が先発し、その一人であるロメラが2ゴールを決めるなど早くも補強の成果が出ているが、その陰で出番を奪われたカンテラーノがいることも事実である。

 確固たるプレーモデルと指導カリキュラムを確立し、各世代における最高のタレントが集結するバルサであれば、毎年新たな有望株が続々と台頭してくる。ゆえにクラブは今回のように「今季は育成より残留」と割り切った補強を行うこともできるわけだが、そのタイミングに当たってしまったカンテラーノは不運と言う他ない。

 サッカー選手として成功するためには、才能や努力に加えて運も必要だということを改めて考えさせられた。

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