セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ミラン監督「本田は優れた一兵卒」。
“潰し屋”としてチームの中心に復活。
posted2016/01/25 17:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
ミランのMF本田圭佑が、スタメンの座を奪回した。
約3カ月ぶりに先発へ復帰した先月下旬の17節フロジノーネ戦から先週末のエンポリ戦まで、コッパ・イタリアを含む6試合に先発した本田は、計3本のアシストを決めた。チームはセリエA6位へと浮上し、コッパでも準決勝へ駒を進めている。
ミハイロビッチ監督が金髪の10番へ向ける表情も和らぐ。強面で知られる指揮官の本田評は変わった。
「言ったことを着実に実行する。本田は優れた一兵卒だ」
本田のポジションは4-4-2の右サイドハーフになり、トップ下を担っていたシーズンの前半と比べて、役割もかなり変わった。今、ミランの10番は、名もない一兵卒としてグラウンドを駆け回っている。
エネルギーのほとんどを守備に向ける生き方。
今節に2-2で引き分けたエンポリ戦も楽なゲームではなかった。
20節終了時点でミランと勝ち点差1の8位につけていたエンポリはリーグ屈指の連動サッカーを誇る難敵だった。敵地で2度リードに成功するも、その度に追いつかれる苦しい展開。それでも追撃を何とか凌いで、ミランは勝ち点1を拾った。
前半26分にMFベルトラッチを操る形でMFボナベントゥーラのボレーシュートを引き出したり、後半に何度か右サイドの突破を試みたりする場面はあったが、終わってみればボール支配率で44%と劣勢に立たされたゲームで、本田はそのエネルギーのほとんどを守備に費やした。
78分に空中で競り合った際に右側頭部を強打したが、頭に包帯を巻いてすぐにグラウンドへ戻った。86分に交代を命じられると、ベンチへ退く前に不満顔のまま頭の包帯を荒々しくむしり取った。
吐く息白い1月のナイトマッチにもかかわらず、本田の顔には滝のような汗が滴り落ちていた。