ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
新選手会長に宮里優作が就いた意味。
男子ゴルフ界、逆襲は「現場」から?
posted2016/01/15 10:40
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Kyodo News
「中学生の頃にも生徒会長をやったことはなかった。ずっと“副”で。補佐的な役割ばかりでしたね」
2016年、日本のゴルフ界最初のニュースは新しいリーダーの誕生だった。
男子ツアーを統括するジャパンゴルフツアー選手会の会長に、宮里優作が就任した。
2005年からのべ3年同選手会の理事を務め、'07年からはのべ8年も副会長を歴任。プレーヤーとしては昨年、シーズン初勝利となるツアー3勝目は11月のダンロップフェニックスと遅かったが、1年を通じて安定した成績を残したことで、賞金ランキングはキム・キョンテ(韓国)に次ぐ2位で終えた。
選手たちの互選によって決まる理事会は、宮里新会長で「ほぼ満場一致」といえる状況だったそうだ。今年6月に36歳。多くの層に目が行き届く中堅世代のド真ん中。サポート役としての経験は十分。機は熟し、'13年から3シーズンにわたって奔走した池田勇太からのバトンタッチは規定路線といえた。
プロゴルフ団体と選手会との間柄。とりわけ苦境が続く最近の日本男子ツアーにおいてはいま、労使交渉が激しく繰り広げられる関係というよりも、再興に向けた連携こそが重視されている。
数字で見る男子ツアーの苦境と「現場」。
もう聞き飽きたし、書き飽きた。けれどその男子ツアーを取り巻く厳しい状況は、数字がしっかりと示している。昨年、37試合が開催された女子ツアーの1試合平均入場者数は1万5148人。24試合(海外開催を除く)が開催された男子は平均1万4018人。忘れてならないのが、男子はすべて4日間開催であるのに対し女子は全体の4分の3(28試合)が3日間大会で行われている。両ツアーを訪れるギャラリーが、単純な年間動員数の差(女子56万480人/男子33万6427人)以上の盛り上がりの差を感じても仕方がない。
いかにして難局を乗り切るか。現存の選手たちの生活を守るだけではない。次世代につなげるための策は。
所信表明で、宮里はそのキーワードとして「現場」という言葉を繰り返した。
「現場ですね。とにかく、やるべきことは会場でのファンサービス、現場のことが多くなる。トーナメントに来ていただいた方にどれだけ満足していただけるか。それは僕らにとっても、(プロゴルファーを)やっていて良かった、というところのはず」