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「育成の巨人」は復活するのか?
三軍の設立、そして独立Lの重視。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byHideki Sugiyama

posted2016/01/12 10:40

「育成の巨人」は復活するのか?三軍の設立、そして独立Lの重視。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

山口鉄也は育成出身選手最高の成功例と言える。彼に続く選手は現れるのだろうか。

「育成の巨人」も復活傾向にある。

 約500人分のスタンド席しかなかったそれまでの雁の巣球場にくらべると、新スタジアムは3000人強の収容能力があり、フィールドとフェンスはホームランテラス設置前のヤフオク!ドームと同じ広さ、高さだ。

 三笠杉彦・筑後ファーム準備室室長は「この球場で本塁打が打てるようになれば、テラス席があるヤフオクドームの恩恵をより感じられるのでは」と取材に答えている。以前の球場にはなかった照明灯が6基設置されているためナイター開催も可能になり、「日本一のファーム球場」は大げさではない。

 巨人の三軍設立は、こうしたソフトバンクの取り組みに刺激されたのだろう。育成制度導入と三軍設立に情熱をもって取り組んだ元球団代表兼GMの清武英利氏が球団から離反して以降、巨人の育成ドラフト枠は縮小し続けたわけだが、昨年は最多タイとなる8人を指名し、「育成の巨人」が復活傾向にある。ここで注目したいのは、指名した8人のうち7人が四国アイランドリーグplusならびにBCリーグの独立リーグ所属だったということだ。

独立リーグはNPBに選手を輩出することが使命。

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「将来プロ野球選手となることを希望している若者へ、四国アイランドリーグplusはチャレンジのための育成の場を提供します」

 四国アイランドリーグplus公式サイトの冒頭の言葉である。

 BCリーグの公式サイトには、「もっと多くの選手をNPBに輩出できる環境を創り上げる事が必要です」と新年の挨拶の中に書かれている。独立リーグの使命は、プロ野球に数多くの選手を送り込み、それに替わる選手を主に高校、大学から取り込み、野球界に健全な新陳代謝を促すところにある。巨人の育成ドラフトにおける独立リーグ主体の指名には、プロ野球界全体を見渡そうとする意思の強さを感じる。

 話は変わるが、15年くらい前にある球団代表の方と雑誌で対談したとき、「高校生はプロで成功しない確率が高いので、早い段階で野球人生の芽を摘まないように高校生はよほどの選手でない限り指名しない」と聞いて驚いた。プロ入りの意思表示をしたアマチュア選手は、結果的にプロ野球人生に挫折してもプロ入りに後悔はない、というのが今も昔も変わらない私の考えだからだ。

【次ページ】 プロ野球界に新たな人材供給源が生まれる好循環。

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