プロ野球PRESSBACK NUMBER
やっぱり弱かった2015年の中日……。
大激動人事でまだまだ不安続く!?
posted2015/12/28 10:50
text by
玉野大Hiroshi Tamano
photograph by
Naoya Sanuki
Number Web版“プロ野球・ゆく年くる年”企画は、全12球団の短期集中コラムシリーズです。年末年始にかけて、全12球団の2015年の振り返りと2016年の夢を、チームへの思い入れたっぷりの筆致でお伝えいたします!
第4回目は谷繁監督の下、思い切った若返りを図りつつある中日ドラゴンズです。
3年連続のBクラスをどう見るか。順位は前年から1つ下げての5位だが、開幕前の評論家予想は圧倒的に最下位が多かった。62勝77敗4分け。首位ヤクルトとは13ゲーム差で、最下位のDeNAとは1.5差だった。
ラスト数試合で辛うじてDeNAを振り切ったとはいえ、実は3年連続のBクラスは老舗球団で1度きりの屈辱だった。巨人の影に隠れ続けた球団史ではあったが、こう書いてみると「万年2位」は誇っていい。だからこそ、創設80年を迎える来季に「4年連続」で更新するのは許されない。
前評判通りの弱さだったとはいえ、敗因をどこに求めるか。
チーム打率.253は何とリーグ2位だった。なのに最も肝心な総得点473は5位で、1位のヤクルトより101点も少ない。
「それは一発長打を打てる打者が少なかったからだ」という意見はあるだろう。たしかに71本塁打はリーグ最少。しかし日本屈指のピッチャーズパークであるナゴヤドームを本拠地にする以上、これはわかりきっていることであり、いわばチームカラーだ。少ない安打で効率よく得点する「いやらしさ」こそがドラゴンズの強さだったのだから。
88盗塁はリーグ2位と機動力はまずまず。つまりヒットは打つ。盗塁をからめてチャンスもつくる。だけど、そこまで。「タイムリー欠乏症」はかなり深刻だったことがうかがえる。
多くの逆転負けを呼んだブルペンの不調。
強竜の象徴だった投手陣は、チーム防御率3.19がリーグ3位と悪くない。総ホールド93も同2位と上々なのだが、34セーブはリーグ最少。長年、クローザーの座に君臨してきた岩瀬仁紀が左肘の不調で1球も投げられず、昨季台頭した福谷浩司も制球難に悩まされた。セットアッパーの又吉克樹の好不調の波も激しく、終盤の逆転負けが多かった。
さらに足を引っ張ったのが守備陣だ。前年比19個増の94失策は、両リーグワースト。とりわけ投手(15)、捕手(14)とバッテリーが多く、リーグで3番目に多い暴投40、巨人と並んでセ・リーグ最多の捕逸12とともに気掛かりだ。
投打とも勝負弱く、守備は破綻。これを選手の能力不足だけで片付けてはいけないだろう。首脳陣の戦術と選手教育、フロントの長期戦略。このすべてが順位という「鏡」に映し出されているのだ。