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「受験では数学が得点源に…」陸上競技のU20日本王者がなぜ「東大に現役合格」できた? “究極の文武両道”吉澤登吾が描く“どっちも選ぶ”未来図

posted2025/04/30 11:07

 
「受験では数学が得点源に…」陸上競技のU20日本王者がなぜ「東大に現役合格」できた? “究極の文武両道”吉澤登吾が描く“どっちも選ぶ”未来図<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

昨年のU20日本選手権800mで優勝し、日本一に輝いた吉澤登吾。桐朋高から東京大学に現役合格できた「文武両道」のリアルとは?

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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Yuki Suenaga

 昨年のU20日本選手権800m王者で、U20世界選手権日本代表の吉澤登吾(桐朋高卒)が東京大学に現役合格。高校スポーツの世界で日本一に輝きながら、日本最高難度の国立大にも合格する――まさに「究極の文武両道」とも言える偉業だが、そんな18歳の素顔はどんなものなのだろうか。《NumberWebインタビュー全2回の2回目/最初から読む》

「これ、記事にするにはつまらなくなっちゃうと思うんですが、特別なことはなにもしていなくて。2年生までの積み上げで合格できたんだと思います。そもそも僕は勉強すること自体が好きなんです。通っていた桐朋高は自由な学校ですし、みんなそれぞれにやりたいことがあって、没頭することができる。それが僕の場合、勉強でした」

 昨年U20日本選手権の800mを制し、8月にペルーで行われたU20世界選手権にも日本代表として出場した吉澤登吾は、東大合格までの軌跡をそんな風に振り返る。

 桐朋の卒業生といえば、M-1グランプリで連覇した令和ロマンの松井ケムリを思い出す。西島秀俊はじめ芸能人も輩出しているから、バラエティに富んだ人材が教室に集っていることが想像できる。

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「合格する確率は高いとは思いつつ、共通テスト(共テ)の模試ではあまり良い結果が出なくて、多少、不安はありました。模試の共テって、知識重視のところがあるんですよ。でも、実際の共テはより柔軟に対応できる問題が多かったので、手ごたえはありました」

東大入試は「数学が得点源に」

 今年、AIが共通テストの問題に取り組んだところ、1000点満点で913点だったという。

 吉澤のスコアは「AIよりはかろうじて高かったです」と笑った。河合塾の調査によれば、東大理科一類の共通テストのボーダーラインは90%。それはクリアしていた様子だが、二次試験は決して油断できない。

「二次は数学が得点源になりました。試験時間中、『あ、この問題は差がつくだろうから、ここを取りにいこう』とか思っていたので」

 問題文を客観的に見られる人である。そして晴れて、東大合格。

「ホッとしたというのは、僕にとって大学とは、やりたいことが自由に出来る場所だと考えていたので。東大に入らないと面倒になると思っていたんです。その意味で、プレッシャーはありました」

【次ページ】 受験期にできた競技に対する「思考の整理」

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