月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
プチ鹿島、12月のスポーツ新聞を切る!
プロ野球契約更改のドラマを味わう。
posted2015/12/28 11:00
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
NIKKAN SPORTS
「流行語大賞問題」とでも呼ぼうか。ここ数年「ユーキャン新語・流行語大賞」が発表されると「なんでその言葉なの?」というザワザワ感が世の中にひろがる。
2015年も年間大賞に「爆買い」「トリプルスリー」が選ばれたことに対して、「トリプルスリーのどこが流行語だ!」というツッコミや違和感の表明がSNSで相次いだ。そりゃそうだろう、実際流行してないのだから。
しかし流行語大賞は「おじさんによるおじさんのためのセレモニー」だと思うと俄然味わい深くなる。その証拠がスポーツ紙である。デカデカと報道し、真正面から「流行語大賞」を受けとめてみせた。たとえば次の1面見出し。
『流行語大賞獲った「トリプルスリー」山田 嵐になる 人気も実力もナンバーワンを守り続ける』(サンケイスポーツ・12月2日)
全力でトリプルスリーを1面で報じた。助演はアイドルの嵐。
流行語トップ10には「一億総活躍社会」という怪しげな言葉もあった。ホントに流行したのか? と思ってしまうけど、今年トリプルスリーを達成した山田哲人と柳田悠岐の年俸は1億円前後。数億円の高年俸選手より1億円クラスの選手が活躍したという意味では「一億総活躍社会」こそ、野球界が受賞する言葉ではなかったか。
プロ野球契約更改・珍プレー好プレー記事を一挙に!
プロ野球選手の契約更改をどう記事にするか、どんな切り口を見つけるか。スポーツ新聞の腕のみせどころだ。ここからは「プロ野球契約更改・珍プレー好プレー記事」を一気に紹介しよう。
『則本あったかい ビジター側にも風呂作って』(日刊スポーツ・12月6日)
楽天の則本昂大投手が3000万円増の1億5000万円(推定)でサイン。交渉の席では、本拠コボスタ宮城の「ビジター側にも浴槽をつけてほしい」と直訴。「相手を配慮する異例の要望を出した」という。懐も気持ちもあったかい。
『ハム中田希望額届かず「馬でも買うか」』(デイリースポーツ・12月5日)
日本ハム・中田翔内野手は希望額に届かなかったが(2億4500万円プラス出来高払い・推定)一発サイン。
《使い道について「遊びで馬でも買おうかな。ジャッキー(命名予定の競走馬)が別のルートで稼いでくれれば」と冗談をかました。》