野球クロスロードBACK NUMBER
散々な1年だった'15年のイーグルス。
とにかく明るい楽天は蘇るか!?
posted2015/12/27 11:00
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
NIKKAN SPORTS
Number Web版“プロ野球・ゆく年くる年”企画は、全12球団の短期集中コラムシリーズです。年末年始にかけて、全12球団の2015年の振り返りと2016年の夢を、チームへの思い入れたっぷりの筆致でお伝えいたします!
第3回目は名将・梨田昌孝監督の下で2年連続最下位からのV字回復を狙う、東北楽天ゴールデンイーグルスです。
2年連続で最下位が決定。“厳しい寒さ”がこれからも続くのだろうか……。
楽天ファンの身も心も凍えていたであろう10月。彼らのハートを熱くする男が、ようやく一軍マウンドに降り立った。
10月5日、コボスタ宮城。シーズン142試合目にしてようやくプロデビューを飾った2014年のドラフト1位、安樂智大がソフトバンクの強力打線を6回2安打無失点に抑え、プロ初登板初勝利を成し遂げたのだ。
球団の高卒ルーキーでは史上初。2年前の2013年、“全東北が涙した”日本一の立役者となった田中将大も、同年のドラフトで4球団との競合の末に入団した、1年先輩のドラ1・松井裕樹も果たせなかった快挙にファンは沸き、「'16年の安楽はローテーションに入る」「いやいや、10勝はできるべ」と、誇大妄想にふけたものである……多分。
シーズン最後の最後に訪れた吉兆に、ファンは盛り上がらずにはいられなかった。なにせ、'15年は「何ひとつとして、いいことなどなかった」と思えてしまうほど、寒々しい1年を過ごすことになったのだから。
松井裕樹の抑え起用はデーブの数少ない功績。
でも実際には、「いいこと」はそこそこあった。
まず、エース・則本昂大の活躍だ。
南海の杉浦忠以来、55年ぶりの新人から3年連続開幕投手。黒星発進となってしまったが、最終的に10勝、あの大谷翔平との争いを制し奪三振王に輝くなど孤軍奮闘ばかり目立ったものの、エースの力投はファンにひとときの安らぎを与えたものである。
そうだった。
「記録」という部分で'15年の楽天は、ちょっとは話題を振りまいていたのだ。
4月24日のロッテ戦で、40歳のレイが40代では日本球界初となる「開幕4戦4勝」をマークしたっけ。それまでの記録が1990年のロッテ・村田兆治の3戦3勝である。そのチーム相手に達成したのも何かの因縁か?
ローテーションの軸として期待されていたレイだが、その後、1勝7敗だった事実は、今となってはご愛嬌としておこう。
投手では2年目・松井裕の成長も目覚しい。
守護神を任された'15年は、史上最年少の30セーブをマークしたりと大躍進。デーブ大久保(博元)監督唯一といっていいファインプレーは、この若き左腕を抑えに定着させたことではなかろうか。