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今もウッズが「一流」である理由。
社会貢献への日米の温度差を考える。
posted2015/12/20 10:50
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
AFLO
何をもって一流と呼ぶべきか。その定義は難しい。
一流という言葉からは、長きにわたって守られてきた由緒、伝統、格式といったものが連想される。だが、何もかもがスピーディーに変化していく今の時代、これからの時代において、一流たるものには「守る」だけではなく「変える」ことも求められるのではないか。昨今の世界のゴルフ界を眺めていると、そう思わされる。
12月上旬、ゴルフの聖地、セント・アンドリュースに新たに2名の女性メンバーが加わった。そのニュースを聞いて、「えっ、加わったということは、すでに女性メンバーがいたということ?」と思った方も多いと思う。
マスターズの舞台、米国ジョージア州のオーガスタナショナルが2012年に初の女性メンバーを受け入れたことに続き、英国でも女人禁制を徹底してきたゴルフクラブが男女平等に目を向け始めている。
セント・アンドリュースは2015年2月にアニカ・ソレンスタムやローラ・デービースなど初の女性名誉メンバー7名を迎え入れ、今回は新たに2名を追加した。1人は、カナダ人の81歳、マーリーン・スチュワート・ストレイト。母国のカナダ女子アマをはじめ、全英女子アマ、全米女子アマ、全豪女子アマという4つのタイトルを総なめにした史上唯一の女子ゴルファー。もう1人は、USGA(全米ゴルフ協会)の初代女性会長を務めたジュディ・ベル、79歳だ。
社会に受け入れられるために自らを変える勇気。
英国社会はヒエラルキー。英国ゴルフ界も排他的な性質が強かった。もちろん、現在の英国ゴルフ界から、そのすべてが払拭されたわけではないだろう。だが、少なくとも女性に対して閉ざされ続けてきた門戸がついに開かれたという変化には大きな意義がある。
古くからの慣わしや決まりを率先して「変える」ことで現代社会に受け入れられるゴルフ界の構築を目指す姿勢。時代を見据え、自らを変える勇気を抱く彼らは、だからこそ一流と呼ばれるにふさわしい。