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出場停止違反に対しても拙い反論。
レアル・ペレス会長もさすがに限界?
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byMarcaMedia/AFLO
posted2015/12/10 10:50
レアル・マドリーの絶対権力者ペレス会長。しかし昨今のミス連続は彼の地位をも揺るがしている。
ソシオ窓口に電話し、ファクスまで送った人もいたが。
現に、発表されたベンチ入りメンバーを見て、ベニテスがとんでもない間違いを犯す可能性に気付いた者がクラブの外部にいる。元2部Bのレフェリーで、現在は試合の分析を職業にしているエミリオ・ロサネスという人物である。
ロサネスは「マドリーに警告しようとしたが、あのクラブとは仕事をしていないので、関係者に連絡がとれなかった。仕方なくソシオ窓口に電話をかけたけれど、そちらも応答がなかった」
そこでファクスを送ったけれどこれも無視されたため、試合が始まった後、ラジオ局COPEの番組に出演して事情を語った。
これが前述のとおり拡散し、大騒動に発展したわけだ。
人為的ミスが続けば、ペレス会長の首も危うい。
このときのクラブの対応の是非は別にしても、昨シーズン末以降、マドリーのイメージは落ちる一方である。
5月のアンチェロッティ解任に、6月のセルヒオ・ラモスの移籍希望と7月のカシージャス放出。8月31日には書類送付が登録期限を30分越えたせいでデヘア獲得に失敗し、開幕後は故障者続出。そして11月頭にはベンゼマがフランス代表のチームメイトであるバルブエナを脅した疑いで逮捕され、同21日のクラシコでは……。
ほとんどが人為的失敗であり、中でも会長の判断ミスの影響は大きい。「故障者続出」にしても、ケガの数を減らすためにアンチェロッティを辞めさせメディカルチームを一新したのに、という話になってしまう。クラシコ直後、首が危ういのはベニテスと見られていたが、いまはペレスも同等の状況に置かれているといえるだろう。
ちょうど10年前の'05年11月、マドリーはベルナベウでのクラシコを0-3で落とし、翌12月、ペレスは当時のルシェンブルゴ監督を解任した。しかし、それでも悪い流れは変わらず、3年連続の無冠が濃厚となったため、'06年の2月末ペレスは辞任を表明した。
会長の運命は今後の数カ月に左右されそうだ。