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今野泰幸と森崎和幸の“天国と地獄”。
CSは冷静さが問われる特別な場所だ。 

text by

飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2015/12/03 18:20

今野泰幸と森崎和幸の“天国と地獄”。CSは冷静さが問われる特別な場所だ。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

自らのゴールで勝ち越しから一転、ミスで勝利を失った今野泰幸。しかしまだ決勝は終わっていない。

ホームでの2-2引き分けは苦しい。

 鎮痛な面持ちで何度も「分からない」、「冷静だったら」を繰り返した今野だが、この第1戦が広島のホームゲームだったなら、アウェーゴールを2度も奪った2-2は十分及第点なはずである。

 だが同じスコアでも、ホームで2度のアウェーゴールを許した末の引き分けは、相手に大きなアドバンテージを与えてしまう。ホームでは何としても勝っておきたいという思いが焦りを生んでも不思議ではなく、今野のミスから生まれた広島の決勝ゴールは、まさにホーム&アウェー決戦における勝負のアヤだろう。

 この日の今野は、広島の2シャドー、ドウグラスと柴崎晃誠へのパスコースを巧みに消したり、ドウグラスを外に追い出したりする守備での貢献のみならず、1-1の同点に追いつかれた直後の81分には、FKのこぼれ球をボレーで叩き、勝ち越しゴールまで決めている。そのままG大阪が勝利していれば、マン・オブ・ザ・マッチの最右翼だった。

 だが、自身のゴールに喜びを爆発させてからわずか15分後、呆然とした表情でピッチにしゃがみ込み、しばらく立ち上がれない今野がいた。サッカーとは、かくも恐ろしい。

スローインの瞬間、ガンバは2人少なくなる。

 この決勝ゴールの伏線としてあるのは86分、G大阪の右サイドバック、オ・ジェソクの退場だった。

 そもそもスローインというのは、ボールを投げ入れる選手がピッチの外に出るため、ピッチ内ではスローインを獲得した側のほうが数的不利になる。

 G大阪は退場者を出したので、ふたりも少ない状況だった。そこで、中盤の選手である今野がスロワーを務めれば、自ずと的は絞られる。

「パトリックに投げると思っていたので、狙い通りでした」

 まんまとインターセプトに成功した森崎は、そう明かした。

「ガンバはパトリックしか前線に残していなかったし、うちのほうが数的優位だったので、後ろに人数を残してもしょうがないと思ったので、前に行くチャンスがあれば行こうと思っていたんです」

【次ページ】 森崎「大舞台でやってはいけないミスでした」

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