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GIを2連勝したマイルは本当にベスト?
モーリスが秘める圧倒的なポテンシャル。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2015/11/24 11:20
今年1月の1000万下条件戦からGI2つを含む5連勝。まだまだモーリスの底は見えていない。
モーリスの真のポテンシャルが出る距離は?
次走は、招待を受けている12月13日の香港マイル(シャティン芝1600m、GI)になるようだ。
ここを使ったことでさらに状態が上がることは間違いないだけに、香港でも有力視されるだろう。
しかし、だ。『マイル界の「絶対王者」』と書いておきながら矛盾したことを言うようだが、この馬の真のポテンシャルは、もっと長い距離でこそ引き出されるような気がしてならない。
まず、スタート。今回はスッと出たが、いつも序盤は出遅れたり、ゆっくりとした出足になる。
道中も、ポジションをとりに行った安田記念はやや行きたがっていたが、鞍上の指示を素直に受け入れて折り合う。
そして直線。爆発させたエネルギーを使い切ったら止まる瞬発力型ではなく、追えば追うだけ伸びて行くタイプだ。
血統も長い距離での活躍を示唆している。
何よりも血統がマイラーのそれではない。父はジャパンカップなどを勝ったスクリーンヒーロー。その祖母のダイナアクトレスは毎日王冠や京王杯スプリングカップなどを勝ったほか、オークスやジャパンカップで3着になるなど、高いレベルで幅広い能力を見せた名牝である。そこから受け継いだ底力で、このモーリスのほか、今年のアルゼンチン共和国杯を勝ったゴールドアクター、毎日杯を勝ったミュゼエイリアンなど、さまざまなタイプの産駒を送り出している。
母の父は凱旋門賞馬カーネギー。
母の母メジロモントレーは、クイーンステークスやアルゼンチン共和国杯、アメリカジョッキークラブカップなどを勝っている。この馬も、スピードより底力で勝負する女傑だった。