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香川が一対一の守備でチーム最高!?
ポジションチェンジで得た2つの武器。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/11/11 11:00
復帰の昨シーズンはレギュラー争いをしていたが、今季の香川は完全にチームの中心選手だ。
ポジションの変化が香川に与えた2つのメリット。
28分、ペナルティエリア手前に顔を出したカストロがダイレクトで左前方へパスを送る。香川が抜け出し、左足でクロス。オーバメヤンのシュートはディフェンダーにブロックされたが、ようやくドルトムントがこの試合で初めてシュートを記録した。
そして30分、ギンターがカストロとのワンツーから右サイドをえぐってクロス。これを香川が頭で左隅に決めて、ドルトムントが先制する。香川の頭でのゴールは、'12年3月17日、バースデーゴールを決めたブレーメン戦以来だった。
この一連のプレーが可能になった裏には、香川のポジションが昨季までのトップ下から上がり目のインサイドハーフに変わったことがある。昨季までは4-2-3-1のトップ下だったが、今季は4-3-3の左のインサイドハーフを務める。
ポジションが変わり、香川が手にしたメリットは2つある。
1つ目は、ボールに触れる回数が増えた結果、自分のなかでリズムを作りやすくなったことだ。以前、香川とプレーの感覚がある清武弘嗣も「真司君はボールにたくさん触って、リズムを作るタイプだと思います」と話していた。
後ろから入っていく香川を掴まえるのは難しい。
2つ目が、一歩下がったところからバイタルエリアやゴール前に入っていけること。その状況に持ち込めれば、香川の俊敏性やクロスやパスに点で合わせる能力が活きてくる。
昨シーズンのドルトムントでは、トップ下として高いポジションを取ってはいても、相手を背負うような苦しい状況でボールを受けて、思うように力を発揮できないシーンも目立っていた。しかし今季になってポジションと役割の変化が、チームにとって初めてのシュートから、先制点までの流れに結びついたのだ。
その後、先制した直後にフンメルスの軽率なプレーから同点ゴールを許すも、43分にセットプレーからギンターが勝ち越しゴール。後半2分にカウンターからオーバメヤンがゴールを決めて、そこからは一方的な展開となる。ただ、たびたび決定機を逃しているうちに、ソクラティスのクリアミスからフンテラールにゴールを許して、3-2と1点差。それでも最後はしっかりと守りきり、昨シーズン後半戦のホームでの試合に続いて、ダービーで連勝を飾った。