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香川が一対一の守備でチーム最高!?
ポジションチェンジで得た2つの武器。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/11/11 11:00
復帰の昨シーズンはレギュラー争いをしていたが、今季の香川は完全にチームの中心選手だ。
同時期では、実は過去5シーズンで最多勝ち点。
もっとも、守備の役割をこなすためにゴールから遠ざかるようでは、進化とはいえない。それでは変化にすぎない。
だからこそ香川にとって、この試合でゴールを決めた意義がある。そして、ヘディングでの得点はゴールを決めようとして、ゴール前にしっかり飛び込んだ証である。
12試合を終えた時点で、ドルトムントが積み上げた勝ち点29。これは最近5シーズンのなかでもっとも多い。4シーズン前優勝した時でさえ、同じ時期の勝ち点は23だった。バイエルンが驚異的な強さを見せているためにかすんではいるが、新監督を迎えたばかりのチームとしては十分な数字だろう。
とりわけ評価されるべきは、昨シーズンのチーム最大の課題を克服したことだ。昨シーズンは引かれた相手の守備を崩せず、前がかりになってカウンターから失点がかさみ勝ち点を落とす試合が目立った。しかし今シーズンは、リーグ戦で1試合あたり平均2.9ゴールを奪い、勝ちきれる試合が大幅に増えた。
デュエルを身につけた香川にハリルも期待するはず。
こうして、良い形でドルトムントと香川は代表戦による中断期間を迎えることになった。この好調はもちろん、代表での活動を控える香川にとってもプラスに働くはず。
「チームと代表では役割も違いますから」
そう香川は慎重に語る。
ただ、ドルトムントで引いた相手を崩すアイデアが、日本代表にも通じる点について香川はこう話していた。
「相手に引かれ、中央やボールのあるサイドを固められた時に逆サイドを使う重要性だったり、サイドバックの(選手の)質や活かし方は日本代表でも本当に大事やなって思います」
そして、もう一つ。ドイツで求められ、細かい集計が求められる『ツバイカンプフ(=一対一のこと)』とハリルホジッチが求める『デュエル』というのは、重なる部分がかなり大きい、とブンデスリーガでプレーする日本代表の選手たちは証言している。
香川がこの試合で見せた一対一の局面での強さにもっとも喜んでいるのはハリルホジッチ自身だろう。