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最後まで憎まれ役を買って出た、
エディー・ジョーンズの「ジャパン愛」。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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posted2015/10/16 16:45

最後まで憎まれ役を買って出た、エディー・ジョーンズの「ジャパン愛」。<Number Web> photograph by AFLO

エディー・ジョーンズの手腕なくしてW杯3勝は絶対に果たしえなかった。しかし日本は、彼がいなくとも4年後に向けて再び前進しなければならない。

スーパーラグビー開幕まで、時間はない。

 しかし、チーム体制が整う見込みがないと分かって、日本を離れることを決意した。

 ヘッドコーチ側とすれば「協会の本気度が足りない」ように見え、選手サイドからすれば、また厳しい指導者の下でプレーするモチベーションが見いだせず、尻込みした。協会はその間で苦境に立たされたわけである。

 もうこれ以上、「婚姻生活」を続けることはできない状態。それぞれに言い分があり、決して円満な別れ方ではない。

 ジョーンズHCからすれば、協会のリーダーシップの欠如が今後の競争力低下の原因になり得る――そう見えたわけだ。

 11月にはトップリーグが始まり、2月からはスーパーラグビーが開幕する。

 たしかに時間はない。

FWとウィングが同じメニューで走る日本の練習風景。

 もうひとつ、ヘッドコーチは人材育成の現場における「横並び」練習に憤慨していた。

 特にウィングのスピードがワールドクラスとしては決定的に不足しており、それは高校時代の練習の弊害だと憤っていた。

「アメリカ戦ではモールでトライを取った藤田(慶和)は、もっと成長できると踏んでいました。3年間、スプリント力を磨くべく訓練してきたのですが、18歳から始めても間に合わなかった。16歳からスタートしていれば、違ったでしょうが」

 高校時代のトレーニングで、選手の能力は大きく左右されるのだという。

「プロップとウィングが同じメニューで走るなんて馬鹿げています。そんなのちょっと考えれば分かるでしょう? 日本の高校では、非常識な練習が行われています。ウィングのスピードは貴重ですから、スプリント力に特化した練習をするべきです。日本では、ウサイン・ボルトにマラソン練習させているようなものですよ」

 気づいたことは黙っていられない。相手にとって耳が痛いことも、我慢しない。

【次ページ】 選手から愛されることは「必要ない」という信念。

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