オリンピックPRESSBACK NUMBER
ミスひとつが命取りになる新体操。
早川さくらと皆川夏穂、五輪への課題。
text by
椎名桂子Keiko Shiina
photograph byNorikazu Okamoto
posted2015/10/06 10:50
イオンカップ6位となった早川さくら。リオ五輪出場選手は来年春のワールドカップの成績などから早川か皆川夏穂のどちらかに選ばれる。
「ミスをなくす」ことが必須の皆川夏穂。
皆川は、今大会では自分自身の気持ちをコントロールすることが難しかったようだ。五輪枠のかかった世界選手権に比べたら、イオンカップにはずっと気楽に挑めるだろうと周囲は思うが、そうはいかなかった。大会中、「いい演技を見せなければという気持ちが強すぎた」という言葉が、皆川の口から何回もこぼれた。
前半種目でのミスを受けて、2日目は「力まず楽しんで踊ろうと思った」という皆川は、たしかに後半種目では前日よりものびやかで大きな動きを見せた。ボール、フープともミスはあったものの、17点にのせられたことからも皆川に対する評価は決して低くないことがわかる。
それでも、どの種目もミスなくやりきることができなかった。それだけ難しい内容の演技であることはわかるが、その内容の濃さが評価につながるのはミスなく実施できてこそ、だ。
技の高度化により、ミスひとつが命取りに。
今大会では皆川より上の順位になったオーストリアやイタリアの選手は、世界選手権では早川よりも下だった。今大会10位のドルンダ(アゼルバイジャン)は、世界選手権では6位だった。技が高度化しリスクも高くなってきている今の新体操では、どの選手にとってもミスひとつが命取りになる。
世界選手権で皆川が15位に入り獲得した五輪の出場枠だが、リオ五輪に出場する選手は、来年春からのワールドカップなどの成績を考慮し、早川、皆川のどちらかに決定することになっている。
世界選手権では皆川が上だったが、イオンカップでは早川が上回った。このことからもわかるように、2人の力はほぼ互角だ。
となれば、五輪に向けてのサバイバルレースでは、力を出しきれたほうが、リオ五輪の切符を手にすることになるだろう。